万年青のような水草。東南アジアの黄色く濁った川を上流からぷかぷかと流れ
てくるのを良く見るけどそういうやつが密生したとこに舟を乗り上げ、乗り上
げして湖あたりまで突き抜けたところで舟を停めてガイド役の少年が前に回った。
今から、前の水害などで親をなくした子供達の実態について説明したいけどいい
ですかと言ったようなことをまくし立てる。
状況的にはあんまり聞きたくないけど、まあむげにすんのもかわいそうなんで
とりあえず喋って見てと言うとべらべらべらべら早口でまくし立て始めた。
内容もさることながらえらい英語うまいなあ。こんなんどこで覚えたんやろって
改めて思う。あんまり早いんで内容がようわからん。
それより舟が揺れるし、だんだん気分悪なってきた。
早よ終わって欲しい。
やっと喋り終わって、「どう思う?」と言う。
どう思うって、確かに、目を覆いたくなるような悲惨がそこにあるというのは、
言われなくてもなんとなく知っていた。何とかできるものなら力を貸してあげ
たいとも思わないではない。しかし、話の内容がなんとなくうさんくさい。
どっかで米を買って、それを水上村の学校に持って行って寄付をすると言う
システムらしい。何で直接寄付したらあかんの? 米ばっかり集めてそれで運営
の助けになんの? 疑問が一杯湧きあがる。
「寄付するか?」と聞いてくる。
それには返事をしないで、舟が揺れて気分が悪いんでとにかく先に進めと強く
言う。
湖のどっかに行くんかと思たらぐるっと迂回して運河の方に戻り始めた。
水上の人家が密集したあたりが近づいてくる。
「ワニを見るか」と言う。そういやワニ園見学みたいなの何かで見たことがある。
少々大きめの高床の建物に横付けされた。
いきなり土産物屋だ。ゆっくり見たらええと言う。
ゆっくり見やんでもすぐ終わった。ろくなもんがない。
ワニはあっちやと言う。
確かに生簀の中でワニが蠢いている。
ワニっの人生って時間の次元がないんちゃうやろかって思たりする。
静かさが不気味やなって思たりしてるうちに飽きてきた。
「次ぎ行こ」と言うが、飯食いたないんでレストランには行かんでええとも言う。
こんなとこの飯は食えんとえらそうにするわけやないけど、貯め水しかないよう
なとこで調理したもんは避けたほうが安全やとも思う。
そしてら「市場へ行って米を買おう」と言う。
来よったと思う。
返事せえへんかったら、とにかく行くだけ行こうと言う。
市場と言うても小屋が一つあるだけだ。聞き間違うたんかもしれん。
舟から上っていくと、奥にカウンターがあってだらけたおねえちゃんがスマホ
で音楽を聴いている。ガイドがしつこく米を買え。それを持って学校に行こう
と言う。おねえちゃんに「いくら」と聞くと、音楽に夢中で返事もせえへん。
もいっかい聞くと、うるさそうに、「30ドル」と言う。
15kgくらいの袋が30ドル? ありええへん。
瞬時に断った。しかも袋に中国語が印刷してある。このシステムって米袋を
廻してるだけやんかと思う。子供のところで開かれてご飯になることは絶対ない
やろうと思う。ここで払ったお金が子供のために使われることも絶対ないやろ
とも思う。中国人がからんだ貧困ビジネスちゃうんやろか?
自分達で考えたんやったらまあえらいこと考えよるなあって苦笑するくらいや
けど、もし中国人の組織なんかが入ってきてこの子たちを使って搾取してるん
やったら許せんなあと思う。
相手が大人数やったら難しやろけど、少人数の旅行者がときどきこういうのに
巻き込まれんのやろと思った。
だんだん腹がたってきた。舟に戻ろうとすると買わへんのやったらチップを渡
してやって欲しいとガイドが言う。
お前はアホかと言う顔をして「NO」と言いながら舟に戻った。
舟の中は一気に白けて、後はどこも見学せんと戻っていく。
村の中には郵便局やら役所やら学校やらいろいろあって面白そうだ。
教会すらある。
進みながら説明はするが降りてみようとは言わない。
そのまま船着場まで直行した。
メコンの豊饒と水上生活の貧しいながらも逞しく生きてる人の世の営みのひと
しずくでも感じとらせていただいてスケッチにしたいと願ってたんやけどとても
残念であった。
着いたら、「この案内がお気にめしたのであればチップを頂きたい」と言う。
1ドルずつあげてさよならした。腹も立つけどかわいそうでもある。
カンボジアは内戦時代の荒廃で特に教育分野での人材不足が深刻なんやと聞いた
ことがある。
わずかな機会を活用して語学を必死で学んで身につける子供達と姿勢にに感動す
ることも多い。
しかし、いろんなところに問題をかかえてそうだ。
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ありがとうございました。