出師表の竹簡

今回、雲南の元陽、建水に旅行に行ったが、その時まず最初は北京であった。
北京には正午頃到着して、夕方には昆明に向かって出発したので、あまり
滞在時間はなかったが、少し買い物をした。
北京の王府井に「譚木匠」という櫛屋さんがある。
柘植の櫛などを売る有名な店だが、ここを訪れてみた。
それで、見ていると面白い物を見つけた。
「竹簡」だ。
勿論本物ではないが、細工物のお土産としてよく出来ている。
「三字経」とか、「赤壁賦」とかいろいろある。
中に、諸葛孔明の「出師表」があった。「前出師表」と「後出師表」がセットに
なったやつだ。
先日、赤壁2を見たばかりなので、思わず手が出てしまった。
特に、「前出師表」は名文として有名だし。前後共それ程の長文ではないので、
全文が入っている。
元々は紙だったのだろうが、こうやって竹簡にしても中々味がある。

「前出師表」はこんな風に始まる。
臣亮言:先帝創業未半而中道崩ソ。今天下三分,益州疲弊,此誠危急存亡之秋也。
先帝(劉備玄徳)は道半ばにして斃れた。今天下は三つに分かれているが、我らが
益州は疲弊しており、危急存亡の時が来ている。

それから縷々、政の道を説き、
こんな風に終わっている。

深追先帝遺詔,臣不勝受恩感激。今當遠離,臨表涕泣,不知所云。
先帝の恩を思うと、涙が流れて止まらない。

この中に、瀘を渡り南方の蛮族を平らげる話が出てくる。
受命以來,夙夜憂歎,恐託付不效,以傷先帝之明,故五月渡瀘,深入不毛。
今南方已定,兵甲已足,當獎率三軍,北定中原。

有名な七擒孟獲の故事の話だ。
「7回捕まえて、7回放す」ことで敵将を心から帰順させるのだ。
又、「人間の頭の代わりに饅頭を作って差し出す」これが饅頭の発祥という
話もある。この南方の蛮族の国というのが、今回旅をした雲南なのだ。
そう思うと、なかなか感慨深い。

suisihyo090601

毎週月曜はこだわりのモノの話です。