もう思い出せないくらい遥か昔の話だ。受験生として大阪で予備校に通ってい
た頃がある。予備校に行かないとき(さぼりも含めて)、しかも怠けるのも気
が咎めるときは図書館に行くようにしていた。
どこの県や府にも市立図書館と県立或いは府立図書館の両方が存在するのかは
知らないけど、その当時から大阪には府立図書館と市立図書館があった。そし
て、何故か理由はわからんけど府立図書館の方が居心地がええでと言うのが受
験生仲間に教えられたことだった。朝行って、2時間ほど、本を読んだり勉強
するふりをしたら図書館に付属の食堂で飯を食うのも楽しみだった。たいてい
チャーハンかオムライスだ。そやからそういう食いもんとノスタルジーが結構
結びついてる。午後に又2、3時間すごしてから下宿に帰る。そういう暮らし
だ。ある日、図書館でZ会の問題を解いていた。今はどうかわからんけど、そ
の頃、Z会と言って、数学のかなり難しい問題を出して通信添削するような会
社があって。それに挑戦するのが屈託の多い受験生活の中ではある種の楽しみ
であったのだ。其の頃は、図書館の中で勉強したり本を読んだりする場所は、
今よりもっと広くて居心地がよかった。ちょっと疲れて、手足を伸ばしがてら
トイレに行こうと歩いていたら、おなじ部屋の中で、問題を添削して回答を書
いているらしき人がいた。気になっても覗き込むわけにいかんからちらちらと
しつこく見たら、間違いなくZ会の問題やった。同じ部屋で、問題解いてるや
つと回答を添削してるやつがいるのだ。おもろいなあとえらい親しみがわいた
けど話しかける勇気もないし、それで何かをしたいわけでもなかったのでその
まま帰った。
こういうせつなげな思い出と何一つ関係はないけど、最近、貸し出しカードを
登録しようと府立中之島図書館に行った。
えらい古めかしい建物だ。由緒があって味がある。
中もええ感じやんか。ここもよう来てた。
しかし、機能の本体は別のとこに移ってて、ここは建物を維持保存する為にだ
け存在してるように見受けられた。本は殆どなくて、閲覧するとこもそれほど
広くは無い。こうなるといずれ無くなるんやろなあ。もったいない。
ついでに大阪市立図書館にも登録した。
大阪市内にはよう出て行くんで、本を読んだり、パソコンやiPadを広げる時間
を過ごせるようにと考えたからだ。それにしてもゆったりと居心地よくおれる
場所は殆どない。
重複した機能をなくせとか機能の合理化とかいろいろ言われて文化面がどんど
ん寂しくなってきているけど、図書館って本を変えないわしら金の無い府民、
市民に無料で本を貸し出すって機能だけや無うて、そういうところに人が何と
なく集まることで、その地域の文化的な基盤を醸成する作用もあるんとちゃう
やろか。簡単に言えば、こんなに夥しく文字の重さや密度が集積したところに
人がより多く滞留できるって、その空間に大きな意味があるんとちゃうやろか
という事だ。
そんな場所をたくさん作って欲しいものだ。
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