北京、「譚木匠」の柘植の櫛

前に、諸葛孔明の「出師表」の竹簡を買った話を紹介したことがある。
実はその店には、柘植の櫛を買いに行ったのだった。
「譚木匠」は昔から柘植の櫛の細工で有名なんだそうだ。
柘植と言っても同じものは中国にはなくて、「黄楊」という木がこれに
あたるのだそうだ。それを知って、この店に一度行ってみた事があるが
ちょうどオリンピックの再開発で閉店してしまっていた。
最近、前の店の近くに再オープンしたというので早速行ってみることに
したのだ。
さすがに店内はいろいろな素材で作った櫛がおいてある。
「黄楊の櫛」はこのあたりだと言うので、
「これはどう違うの?」と聞くと、
「細工が違う」と言う。「材料は同じです」と言う。
「本当かな?」とも思ったが、材料が同じなら無理に凝った細工の
ものを買わなくても、実用的な物の方がいいかなと思った。
それで、使いやすそうな、シンプルなものを選んだ。
安い。とても日本の柘植と同じとは思えない値段だ。

柘植には椿油だろうと思い、椿油も購入。
中国では椿油と言っても「知らない、通じない」だったので日本で
買ったが、これはとても具合がいい。
髪のすべりはいいし、静電気も起こらない。
実に使いやすいのだ。
こんなことなら、もっと髪の毛が多いうちに買っておけばよかった。
実は今となっては、櫛なんか殆ど必要ないのだ。
まあ、しゃれで使っていこう。

kusi090629

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