柴崎友香、「その街の今は」
この本、ゆっくり大事に読んだ。
今暮らしている大阪が舞台だ。
本町界隈、心斎橋界隈。ミナミのあちこち。
大好きな街角話だ。こんな風に自然に自分の暮らしているあたりを
描けたらいいなと思った。昔の写真と今の風景。
変わっていくなかに変わらないモノがある。
変わって欲しくないモノがある。
自分やまわりの暮らしを穏やかな暖かい目で見ているように思える。
「いいなあ」
お大師さんの日に、四天王寺の市に今度行ってみよう。
やっぱり大阪っていいとこやねえ。
ヴィカス・スワラップ、「ぼくと1ルピーの神様」
時間をおきながらであるが、インドが舞台の小説を3冊読んだ。
ジョン・アーヴィングの「サーカスの息子」、アラヴィンド・アディカの
「グローバリズム出づる処の殺人者より」の3冊だ。
やはり巨匠、ジョン・アーヴィングのものが一番小説としてはよかったと
思ったが、3冊とも前に行ったことがあるインドを懐かしく想い起こさせて
くれるものであった。
IT最先端の国、遠く離れたアメリカの巨大なビジネスの現場をアウトソーシング
しているその真っ只中に巨大な貧困がある。それに逃れられないカーストがある。
雨が降ったら道が泥水であふれ、電柱が倒れている。
道端のテントで暮らしている人はどうなるんだろう。
二十幾つもの州があってそれぞれ言葉も制度も微妙に違うそうだ。
だから共通語は英語しかないと、必死で英語を覚えて這い上がるのだそうだ。
インドで一番おどろいたのは、「同意の印は首を横に振ること」だ。
これには何時までたってもなじめなかった。
何か説明して、首を横に振られると、「ああ、気に入らないんだ」とつい思って
しまった。
この映画でも、司会者がそんなしぐさをしかけてあえて直しているような
ところがあったように思う。
あれは誰にもなじめないよねえ。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。