広島、山口、雪舟と瀬戸内の旅-15、橋の袂の小さな美術館

橋が終わって道路に入ってその道が島の集落にさしかかろうとするその手前あ
たり、崖の上に小さな美術館がある。今回は、友人とその知り合いで町興しの
活動をしてられる人も一緒であった。その人が、画が好きならここがええと言
うのだ。
学芸員の方も説明してくれると言う。
「蘭島閣美術館別館」と言うのだそうだ。別館があるくらいやから本館もある
んやろけど小さな別館というのが良い感じだ。
えらい大層な話になってきた。呼び出された学芸員の人もきっと迷惑やったん
やと思う。えらい綺麗なお嬢さんやったけど、いきなり来たへんな爺さん相手
に何を説明したらええんか戸惑い気味なのは気の毒だ。
適当でええんやで・・。
今展示してるのは、「堅山南風」と言う日本画家の画やと言うが恥ずかしなが
ら知らなかった。実は名前も知らん人はやからどうせたいしたことないやろと
えらそうに思てたら、見てるうちにどかんと衝撃を受けた。
殆どの画が野山に咲く花や野草のスケッチなのだ。
細い細い墨の実に鋭く美しい線で描いている。さっと淡い色をつけているだけ
だがスケッチと言うより作品として見事なものだ。
無駄な線は一本もなくて省略の妙もすばらしい。
杭州の美術学校で花鳥画の練習の時、宋や元の時代の古画を模写するんやけど
毎日同じ花を細い細い線が綺麗にかけるまで何度も何度もやり直しさせられた、
ちょうどそんなお手本の描き方のようでもあるのだ。

堅山南風と言う人は、画壇の先生についたり流派に属したりすることのなかっ
た人で、独学で画を勉強したんでその為の苦労も多かったと言う。
学芸員の人の説明もだんだん興にのってきたようだ。
清貧の暮らしのなかで身近にある野山の草花や虫のスケッチをひたすら描きつ
づけたのだそうだ。そのコレクションが縁あってここにそろっているのだそう
だ。
こういう画を子供に見せたい。子供達にとって得るものが沢山あるはずだ。
学芸員の方は熱く語ってくれる。
私もええもの見せてもらったと感動してる。
いつまでも見てたいくらいだ。帰ったら早速図書館で画集を借りて眺めて見よ
う。
一概には言えないけど、傾向としては伊藤若冲の草花の画というよりは、中国
の斉白石の草花の画を見てるような気もした。

久しぶりにええもん見たなあ。目の肥やし。目の保養。
外に出たら眼下に島の港が見える、ええとこにあるのだ。


より大きな地図で 蘭島閣美術館別館 を表示

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