杭州雑感ー11、宋代老街をぷらぷら

杭州滞在、ある日の昼めし後のことだ。ちょっと時間が空いたというよりは無理やり時間を
作って、文房四宝の店にぐらいは行っておこうということになった。
レストランを出て労働路を南に下る。ちょうど美術学院の裏を通る感じだ。突き当ると
河坊路にでるので左に曲がる。すぐに歩行者専用の大通りになる。
今日はいい天気だ。右手を見ると曇った空に不思議な塔が建っている。
丘の上だからよけい目立つが、城とも違うし寺とも違う、楼閣を組み合わせた建物だ。
進行方向の先には宋の時代を模したという老街があって土産物屋が並んでいる。
このあたり一帯はもしかしたら宋の時代の都を偲ぶ空間を創ろうとしてるのかもしれない。
人が増えて来た。通行人と言うよりはぶらぶらしている人達だ。

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文房四宝の店はこの老街を通り抜けたまだ先にあるそうだ。あまり時間はないがついでに
ぶらぶらしながら通って行こう。
やっぱり食べ物屋さんが多いなあ。
観光客らしい若者達が、昔の衣装を着て写真を撮っている。こういうの、好きやねえ。

果物屋もある。お茶屋さんも多い。
つまり普通の土産物屋街なのだ。見るべきものはあまりない。
龍泉窯の店があった。青磁の美しい磁器は今でも焼かれている。
しかし思うのだが、青磁の味のある色が出ているのに形が全くおもしろくないのだ。
昔の中国はあれほどの文化の高さ、精神の高さを思わせるような陶磁器を産み出す
国であったのに、いまはこんなんばっかりや。
南宋の首都で、戦争は弱かったらしいが、中国の歴史でも一番と言えるほど文化の
爛熟していた都市であったはずなのに、その蓄積はと言えば、土産物屋街にあるはずは
無いのはあたりまえだがいったいどこにあるんやろう。

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昔ながらの漢方薬屋さんもある。興味はあるけど、どうなんやろね。
元気がでる薬あるやろか?
殆ど一気に通り抜けると左手前方方向に古ぼけたビルがあって、その中の2階に
文房四宝の店が集まっているのだそうだ。
確かに、びっしりと小さな店がならんでいて、どの店とどの店がどう違うか、
何処で何を買えばいいのかよくわからないほどだ。しかし、微妙に品揃えや品質に
違いがありそうなので良く見て買わないといけないようだ。
筆、墨、紙、硯、墨汁、絵具、画を描く時に下に敷くフェルトの布、大抵の物はある。
しかし、「高級品はおいてないよ」とどの店も言う。
美術学院の学生が教材を揃えるのにちょうどいいくらいの店になっているようだ。
まあ、それはそれで安いのが助かる。
ちゃっちゃと買って学院に戻らないと午後の授業が始まってしまう。


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