これもあやしいようであやしくないお店のお話だ。
杭州の観光地、宋代老街といわれる河坊街の入り口近くにある。西湖の方から行くと、呉山
広場のちょっと先だ。そういえば、前に学院の前の南山通りを歩いていたら、「呉山広場はどこ?」
って聞かれたことがある。こういうのは楽勝だ。すぐそこに見えている。「西湖はどっち?」と
聞かれることも多くなってきた。「杭州に来て、西湖もわからんのか」と思うが、それほど旅行者
が多いのだ。あんまり調べんと来る人も多いみたいだ。最近は道を聞かれて答えられる確率が増えて
来た。うれしいことだ。簡単なしつもんばっかりやけどね。
それで、この店の話のもどる。
大きなビルがある。呉山花鳥工芸品城と書いてある。
何となく芸術の香りがする名前ではないか。
最初にこのビルを教えてもらった時はうろ覚えでこのビルかどうかはっきりしなかった。
ビルに入ると驚いた。花屋さんばっかりなのだ。しかも家に飾る花というよりは祭壇ようの花みたいに
のを売ってる店も多そうだ。2階の方を覗くと仏具みたいなのを置いた店も多そうだ。
「ここは仏花や仏具の専門デパートみたいなとこに違いない。わたしの記憶違いなんや。出直そう」と
思ってその時は帰ったが、又教えられてきてみるとやっぱりこのビルだった。
ここの3階に篆刻を彫る石や刀を売っている店があるというのだ。
そうなるとやっぱりあやしい。
ちなみに中国のエレベータは連続的にどんどん上に上ったり、下に下りたりできない。かならず反対サイド
まで歩いていって、向こう側から又上に行かないといけない。その移動の通路まで一杯に花やらなんやらを
並べて売っているので歩きにくい。照明も暗いのだ。
そうなるとやっぱり妖しい。
もしかしたら、あの薄暗い廊下の奥の裏側の辺りに三途の川の渡し舟のチケットを売ってるかもしれんなあ
なんてあほな事を考えながら上に上がる。
3階に上がると、仏具屋さんもあるが、骨董屋さんらしき店もあるし、奇石、銘石みたいなのを売る店も
あって、何となくビルの謳い文句にあったような店がならんでいる。
その一角に篆刻用品を売る店があるのだ。
1個数元の安い石から、10元、20元、数十元、数百元、それ以上と何でもある。
観賞用のいい石や、篆刻用のいい石と称して売る店はどこにもよくあるが、練習用の石を取り揃えている
店は少ないので、こういう店があるとありがたい。
篆刻を彫るための刀も数元程度で手に入るという安さだ。
それで、ある日、日本から来ていた友人、知人を10数人連れてこの店に立ち寄った。
覗くだけやと思ってたら皆さん、何を思ったかあれもこれも、これもあれもと、篆刻刀を握った事のない人
までつぎつぎに買い始めた。お店は千客万来、盆と正月が一遍に来たような賑わいになってしまって、えらい
ご機嫌であった。
安くて適切なものを売っていると、何かを始めるきっかけになっていいではないか。
店の人が私の顔を覚えてるあいだに又いかなくてはと浅ましい心を抱いてしまった。
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ありがとうございました。