蘇州・拙政園

先週の末に蘇州を訪れる機会があったので、その話です。
世界遺産で有名な拙政園に行きました。
蘇州には雨が良く似合います。水郷でもあり、庭園も水を取り入れた風景つくりをしているせいかどうか分かりませんが、静けさと物悲しさも演出の一つに思えます。この日も小雨が降っていました。
拙政園は中国の四大名園の一つであり、世界遺産でもあるそうです。非常に大きな庭園です。中を巡っていて感じたのですが、頤和園など、他の有名な庭園とは少し違った感じがします。抑えた感じがするのです。
高貴な人の持ち物だった庭園は、それぞれ豪華さを演出しています。建物や庭の造り、中の家具や置物なども豪華の極みを思わせるものが多くあります。
それに比べてこの拙政園は、広くて美しいのですが、その美しさは趣味の好さとか品の好さであって、決して豪奢を狙ったものではないように思えます。どちらかと言えば日本の庭園を思わせる雰囲気で、その分落ち着けます。やはり、野に下り、その名の通り、時の政治に批判的な眼差しで造った庭園だからでしょうか。

ところどころにある接待用、休憩用の東屋は文人好みの家具が置かれ、趣味の好い空間が演出されていました。
園の殆どは巧みに作られた池で占められ、季節季節の花や木と水面に映った景色が美しく鑑賞できるよう配慮されています。
盆栽園も有名で、盆栽の好きな人なら垂涎の銘木、貴木が園内一杯に溢れていて見所の一つです。やはり、長い年月をかけて、集められ、大事に手入れされて保存されてきた味わいが感じられます。
今は、紅葉の季節なので、そこここの木々が紅葉し、それが水面に映えて美しい景色でした。
中秋の頃、池に映る月も美しいだろうと思いました。

ここだけではないでしょうが、こういう庭園は、老齢の人には年間パスみたいなのを格安で発行し、毎日でもゆっくり時間を過ごしにこれるよう配慮されているそうです。
朝早くから入って、太極拳をしたり、おしゃべりしたり、将棋をしたりとゆったりと一日を過ごすのだそうです。
そういえば、前に訪れた成都の杜甫草堂でも、老人達が集まって、茶を飲んだり、麻雀をしたりしてましたね。
貴重な文化財や世界遺産でも、変に囲い込まないで、こういう形で開放する事で、ゆっくり流れる人生と共に時を刻ませるという姿勢があります。
こういうのはいいですね。是非、日本でもやってほしいものです。

**これからは毎週金、土、日曜は四方山話のつもりです。

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