バンガロールでは仕事ばかりだった。それで来ているのだから当然だ。
場所はインドの逆三角形の真ん中くらいだ。高原地帯だからそれほど暑くはない。日中は
日差しがやや暑いが朝晩は寒いくらいだ。時差は3時間半、なんとなく眠い。
インドに来たらいつも体のどこかが緊張している。よく言われる価値観の混沌という世界が
目の前にあるからだ。
バンガロールと言えばインドのシリコンバレーと言われるところだ。さぞかし、美しい高層ビル
が立ち並んで、かっこいいビジネスマンやビジネスウーマン達がスーツ姿でかっぽし、
高級外車が走りまわっているところだと一応は思っていた。
確かに高層ビルはある。中で動いているコンピュータもすごい物だ。
しかし、道路はちょっと雨がふれば水浸しだし、電信柱によたよたとケーブルがたれている。
時には倒れて地面を這っているいるケーブルさえある。
「まさか通信ケーブルとちゃうわなあ」と信じられない。
「道路に牛歩いてるやんか」牛は神聖な動物だから大事にされてると聞いた。たしかにそうだ。
えらそうに悠然と道を歩いている。だれも追い払わないし、存在を気にしてさえいないかのようだ。
ただし、どこでもやたらに牛がいるわけではない。
日本でも、どこを歩いても芸者ガールがいるわけではないのと同じことだ。
忙しそうな人も多いが、暇そうな人ももっと多い。おしゃべりで気さくな人が多い。
気がする。顔もお腹も膨れた人が多いからそう思うのかもしれない。
しかし、商売は上手だから気をつけないといけない。
それにバンガロールの街では殆どタクシーが走っていない。何故かはわからない。
オートリキシャと言われるオート三輪みたいな、バイクに屋根をつけたような簡便タクシーだ。
メータなんかはなくて全てが交渉次第のようだ。ベトナムのバイクやシクロなんかもトラブルが
多いと聞くので簡単には乗れない。
今は仕事だから会社が用意した車がある。
懐かしい形をしている。インドでは国民車と言われる「アンバサダー」というやつだ。
白くて丸っこいオールドファッション車だ。
私の年代なら日本で、「ヒルマン」という車があったのを覚えているだろうか。
あんなやつ。みんなそれに乗っている。
どこか会社訪問でビルに行ったり、食事の為にレストランに行ったりすると、帰りは、そういう
車を呼び出すデスクが出口にあって、「○○さんの車、出発です・・・」というような事を
アナウンスすると車が脇の方の駐車場の方から出て来るのだ。
皆同じような車だからなかなか区別がつかない。
街はこんな風にあじあ特有の元気で愉快な街だが、食べ物はかなりリスキーだ。
生水が怖い。
といっても毒が入っているわけではない。地元の人には何の問題もないのだ。
水に含まれる菌が他国に人間には合わないというだけのことだ。
しかし、やられたら悲惨だ。死ぬほどの下痢が続くと言う。
だから、よほど高級なホテルでもない限りは生水はおろか、生野菜も洗った水が怖いから
食べてはいけないと厳重に注意される。
歯磨きももちろんミネラルウオーターでやるのだ。
カレーは火が入ってるし、辛いから問題ない。
私はカレーのおかげで無事に過ごせたのだ。
仕事が終わって、ビールを飲みながら辛ーーーーいカレーを食べると、「インドへ来たなあ」
という気持ちに浸れるのだ。
といいながら夜の飛行機でデリーに向かう。
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