行者餅って。
行者餅って、京都東山四条を少し下ったとこにある「柏屋光貞」という和菓子の老舗が年に一回だけ、祇園祭宵山の日だけ、発売するお菓子なのだ。
昔、今日の街に疫病が蔓延したときに、その退散を祈念した役行者にゆかりの餅菓子らしい。
知らんけど。
柚味噌餡に山椒が効いた、ごく素朴な、それでいて、なんだか複雑で、繊細な味わいは、一度食べたら結構癖になる。
手に入れるの大変やからもうええわって思ってても、喉元すぎればなんとやら・・
いつかまた食いたくなる。
元は予約制。
それはええんやけど、これはとても入手困難なのだ。とくに、わしら遠方の田舎暮らししてる人にとっては大変。
ずっと昔は、完全予約制だった。その場合は、決められた日に事前予約電話をしておいたらそれでOKだった。そうは言うても、当日は、予約客がずらりと並ぶ。順番がきたら、お店の人が予約内容と照合しながら、渡してくれる。お店の人にとっては大きな負担だったみたい。わしらも並ぶのは大変やったけど、必ず買えるという安心感があった。
何回か並んで買った。
今は早いもの順。
ある年から、その予約がなくなった。
早いもの順という。これは大変だ。
田舎から出て行ったらとても間に合えへん。
それでしばらく遠のいたけど、ある時一念発起。
6時すぎの電車で出かけることにした。京阪祇園四条に着いたら8時半過ぎ。しかも土曜日。
延々の大行列であった。こんだけ長い行列やったら絶対あかんわと半ばあきらめながらも未練たらしく最後まで並んでいた。途中で店の方から、もう終わりましたと言われても、諦めきれず残っていたグループの中にいた。結局は、2時間半以上ならんであえなく撃沈。
心折れてしまった。
しばらくはいく気がない。
今年になって。
もうすぐ祇園祭というころ、ふとカレンダーを見た。今年の宵山は平日ではないか。
もしかしたら、もし、朝一番の電車で出たら、もっと早く着くし、平日やから行列も少ないやろし、買えるんとちゃうやろか。
欲望には限りがない。
てなことで、5時19分。
さすがの真夏でもまだ涼しい。車窓の景色も涼しそう。
南海高野線を乗り継いで難波からメトロ、淀屋橋から京阪電車に乗る。
大都市を6時代に駆け抜ける。
祇園四条についたら、トイレに行っておく。冷たいお茶を買っておく。
戦闘準備完了で上にあがったら7時半すぎ。
さて、いざ。
四条通を八阪神社に向かう。
以外にも人通りは非常に少ない。まだ・・・なんか。
八坂神社の前の交差点にも、観光客は殆どいてへん。まだ・・・なんか。
そこから南にしばらく歩く。
もしかしたら、行列はない?
そんなはずはない。
お店が見えたら、行列も見えた。
もちろん、お店を出てすぐの角で折れ曲がって、坂の上の方へ・・・
しかし、数メートルでもう終わり。
あっけないではないか。
前の時は、この道をずらりと行列して、坂の上で、もう一回折れ曲がって、まだずっと先まで行列があった。
これやったら楽勝やんか。早く来てよかった。
この時点で7時40分くらい?
やっぱり暑い。天気がややこしい。にわか雨がくるかもしれん。
とりあえず秘密兵器をだす。
折りたたみ椅子だ。
すぐに後ろの人から声がかかった。ええもん持ってはりますなあ・・・
いくらでした?・・・なんだかんだ。
わしは話上手ではないんで、もごもご・・・・
店は開いてないんで当然行列は動かへん。9時までこのまま。
雨が降ってきた。傘もだす。
これも秘密兵器。軽いやつ。日傘にもなるやつ。
完璧だ。
じっくり待つ。
この為に和歌山から朝一番の電車できたんですわ・・・ドヤ顔をしたくて、話題をつくる。
いやあ・・、距離では勝ちましたなあ。
その方は、この為に前日に東京から来はったらしい。なんとすごい。
ドヤ顔できずに、しょぼん。
前の方では、おばさんたちが、京都の美味しいとこ教え合いしてはる。
わしも教えて欲しい・・
それにしても秘密兵器の力はすごい。
こんだけ並んでも腰が痛くならへん。
てなことを思ってるあいだに、急に列が動いた。
どうやら8時半に店が開いたみたい。
気をきかせて早い目に開けてくれた?
そこからは少しずつ前に。椅子をずらしながら忙しい。
けど嬉しい。前とはえらい違い。
ちょっとずつ動いて、角を曲がった。
店まではもう数メートル。
じわじわ。
意気揚々と買った方が目の前を通り過ぎていく。
紙袋いっぱい買ってる人もいる。長く待ったら、沢山買いたくなる。
順番が近づいてくる。
9時12分頃。
もう目の前だ、中に入れる。
入り口で、何個入りの箱をいくつ買うか申請する。
お金を払って出口で品物を受け取る。現金のみ。
これで終わりだ。
わしは念願の行者餅、5個位入りの箱を一つ買った。450円x5=
2250円。
まだ9時半すぎ。
喫茶店も開いてないとこが多い。街は祇園祭で賑わい始めてる。
ゆっくり噛み締めようって思ったけど、大阪まで一気に戻って、用をすませて、
早めの昼飯を食う。
また、買い物も済ませて、九度山に帰ったら、15時ころ。
ちょうどおやつの時間だ。
さっそく、広げる。
これか、これだ。
久しぶり。
抹茶でいただく。やっぱりとても美味しい。なんせ、労力がいっぱいかかってる。
噛み締めよう。
柚味噌と山椒の味わい。繊細で深い味わい。
ええですなあ。ご馳走さん。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
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お店の詳細。
- 店名 「柏屋光貞」
住所 京都市東山区毘沙門町33−2
電話 075-561-2263
年に一度 7月16日 9:00(8:30)から行者餅を販売。
テイクアウトのみ。 予約不可。
1個450円 1箱5個入り、10個入り。
売り切れまで。
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お店の地図。
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