水墨画を練習しているが、画題としては山水を描く事が多い。
たまには花鳥なども描きたいと思う事もあるが、中々機会がない。
山水の場合はまず輪郭だ。輪郭を味のある線できちんと描くのが大事だと言われる。
それから、主要な体で言えば骨になる線だ。これも丁寧に味良く描く必要がある。
そして細部を仕上げていく。
多分、花鳥も要領は同じなんだろう。
そういう事を考えていたら、焼き物の絵付けの事を思いついた。
焼き物はいろいろな花や鳥が美しく絵付けされている。
どんな風に画を描いているのかが気になるところだ。
ずっと以前に景徳鎮に行った時は、小学生くらいの子供たちが集まって学校の
ように皆で絵付けの画描きを一生懸命練習していた。技術を残すために小さい頃から
練習するのだそうだ。それに絵付け師と焼師(と言うのかどうか知らないが)は分業
になっていて、絵付け師の方が格が上だと言う。
店を持っているのは絵付け師で、素焼きの焼き物に絵付けをして、再度本焼きするが
その焼くのは皆下請けにだすのだそうだ。
ハンガリーの高級磁器、ヘレンドに行った時は、絵付け師は印刷した下地に色をつけて
いた。純粋な手描きとは言えないのでちょっとがっかりした。
前に、中国映画、「たまゆらの女」の中で素敵な女性の磁器の絵付け師が出てきて、
雲南の建水という処で焼き物を焼いていた。そして、毎週、汽車に乗って重慶の恋人
の詩人に会いに行くという映画だったので、この春、雲南に行ったときにその建水の
街を訪ねてみた。しかし、実際は汽車も通っていないようなところで、磁器なんか
全く作られていなかった。それでも紫沙壺のような陶器では有名なところらしく、
まんざら全くのでたらめでもなさそうだったので、陶器の工場に行ってみたら、
美術の画集の花鳥図を見ながら下絵を描いていた。他の行程ではその下絵に色を付けて
いくのだ。こんな辺鄙なところで焼くものがすべて手描きというのに感心した。
その後、有田の陶器市に行った。最近は鍋島を気に入って安いものだが時々買っている。
今までは、花入れや碗や皿など、よくある陶磁器のものを買っていたが、
形もいいが、描かれた花鳥の美しさもいいものなので、今回は陶板の画を買ってみた。
こういうのはどうなんだろう。いくらなんでも下絵を印刷ということはないだろう。
なかなか優美な筆遣いだ。こういうのをどういう筆の運びで描いているのか見てみたい
ものだ。
毎週月曜はこだわりのモノの話です。