歴史深そうな建物で、それにとても似合いそうな篆刻作品展があった。
前に堺刀司のお店に篆刻刀を買いに行ったことがある。その時に、お店の2階で
催されるという「奥の細道ー篆刻展」の案内をいただいて、その日が来るのを
待っていたのだ。
ここは、「水野鍛錬所」という堺の老舗の刃物屋さん。所謂、堺刀司のお店だ。
ネットでこの店の篆刻刀のことをしって買いに来た話は既にブログに書いたんやけど
昔ながらの床しげな建物なんで、ここに2階で篆刻の個展をやるなんて洒落てるなあって
思った次第だ。
その日が来たんでお店に向かう。ちょうど用があって九度山から大阪に出ていたんで
天王寺からチンチン電車で高須神社前に向かう。阪堺線はとてもローカルな路線では
あるけど何時乗っても殆ど満員で、それも地域の人に上手に利用されている様子が
とても良い。行き先違いがあるんで、なんも考えんと乗ったら途中で乗り換えせんならんから
要注意。駅から10分ほど歩く。大した距離ではないし、道中に昔の堺町家の
いろんな施設や屋敷跡があったりするから楽しい。
特にこの日は、堺七まち町家公開×町なみ再生イベント週間とやらで少々賑わっていた。
お店に入ると早速2階を案内される。
お店の上がりかまちの座敷の奥の箱階段のようなところを天井に気をつけながら登る。
これだけでスリリングかもしれん。
中に入ると2階というより天井裏という感じでこれまた黒くくすんだ柱がむき出しで
とても良い感じだ。
作家の方がおられて作品を見せていただき、解説もして頂く。
「奥の細道」というタイトルやから作品も「奥の細道だ」
「月日は百代の過客にして行き交う年も又旅人なり。」という有名な序章出だしから
最初の句、「草の戸も住替る代ぞひなの家」、「行春や鳥啼き魚の目は泪」、
「夏草や兵どもが夢の跡」、「五月雨の降のこしてや光堂」などなど、有名な句が
一杯有って、最後に「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」で終わる63句を全て網羅している
らしい。なんと素晴らしい労作であろうか。
しかも漢字かな交じりの俳句をその意を表す漢字に全て置き換えて篆刻されている。
もちろんそれぞれに巧みな変化が施されている。朱文あり、白文あり、朱白混合あり、
色の変化があると共に字体も、小篆あり、印篆あり、金文あり、文字遊びも含めて
多彩である。それぞれを「奥の細道」の旅の順に、その句と共に並べて一巻の巻物に
仕上げると、見るだけで圧巻の大作となっている。
素晴らしい。
特に誰に習うということでなく、自ら修行を積んで10年の集大成であると言われていた。
延べ500個以上は彫ったと言う。
わしも篆刻の勉強はしてるんやけど500個とは恐れ多い。とても足元に及ばない。
こないだ読んだ本によれば、500個までは手遊びに過ぎんと書いてはったんで、もう
玄人に行きに達してはるんとちゃうやろか?
順に眺めさせていただくととても勉強になる。
次の課題はというと、やはり芭蕉の「野ざらし紀行」に挑戦しようと言うてはった。
素晴らしい。又、見に行きたい。
ちなみにこの方の篆刻刀はもちろん、水野鍛錬所の製品だ。わしのもそうやけど。
持つ人によって出来栄えが違うのは致し方ない。
見せて頂いた後の感想。
目指せ500個!
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ありがとうございました。