九度山暮らしのある日、高野下駅近くの椎出厳島神社で「傘鉾と鬼の舞」神事を見た。

さて、こんどは今日の3つの中で一番メジャーなお祭りらしい。見物客も多いし、子どもの
健康祈願のために小さな子を連れて行って鬼さんに泣かせてもらう人たちも多いらしい。
賑やかな祭りになることやろと楽しみだ。

家にもどってゆっくりしてたらあっという間に時間がたった。急いで16:40九度山発の電車に
乗る。

同じ目的の人たちが何組かもう既に乗ってはる。一駅やからあっという間に着いてしまう。
厳島神社は駅の隣やけど線路の反対側なんで、一旦駅を出て踏切を渡らんとあかん。
あたりはもう既に祭礼待ちの人たちで賑わっている。
けど厳島神社の方にはまだ殆ど人がいない。

こっちにはまだ鬼さんはいないのだ。

左手の坂を上がったところで人だかりがしてる。
こちらは地蔵寺って書いてある。祭礼はまずこちらから始まるのだ。

寺の座敷のなかで声がする。

少年が何か掛け声みたいなんを唱えながら太鼓を打ち、白装束の人たちが揃って
何かを唱えてはる。ようわからんけどここでも雨乞いの祝詞みたいな感じがする。
同じことを延々とやってはる。
太鼓を叩く少年はなにかに憑かれたような打ち込みようだ。
もう既に無我の境地に入ってはるんかなあ。

両側に控えた更に年少の少年2人が笛を吹き始めたらいよいよクライマックスか?
寺の境内の方で傘鉾の準備が始まった。

人の動きが激しくなった。もしかしたら鬼がどっからか現れてこの坂を駆け下りるのか?
こんどは下に行って待っとかんとあかん。
とうとう鬼が出た。

駆け下りて来るんかと思ったら、えらいゆっくりゆっくりと降りてくる。

親に抱かれた子たちは何となく微妙な顔をしている。変な空気を感じてるのか?
殺気を感じてるのか?
鬼は進んだり戻ったり、右に行ったり、左にいったり、上を向いたり、下を向いたり、
あれやこれやと踊りながら練り歩く。

人々のいるところにどんどん近づいていく。

傘鉾も一緒に動いている。
一通り踊り終わったのか、こんどは、子どもたちのところにいって、「わっ」と
声をだす。

子どもは日がついたように泣きじゃくって親にしがみつく。それがとても可愛い。
大人はみな、子どもは泣けば泣くほどええと思って、笑いながら見てるから
こどもにとってはえらい悲劇だ。
誰も助けてくれへん。親の体に必死でしがみついて狂ったように泣いている。
とても可愛い。
鬼もあんまり動いてないし、場も白けてきたかんじがするんでわしらはそろそろ
終わりやと思って帰ってしまったけど、実はその後で鬼だけの鬼の枚が長く演舞
されてたそうだ。
ちょっと惜しかった。
ここは町に近いだけあって、知名度も高く、見物客も多いんで結構盛り上がった
祭礼になっていた。
次は来年かな?

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ありがとうございました。