夏目漱石に「行人」という小説がある。大阪から、和歌山、和歌浦あたりが舞台に
なっていて、とても面白い。
そのころはこの橋のつながるさらに向こうの方、右手の小高い丘のそのあたりに
「あしべや」とか「望海楼」とか建物があってその裏側には「東洋第一、
海抜200尺」の外側エレベータで丘の上まで登れるようになっていたらしい。
古くからあった不老橋は修復されるかわりにあしべ橋としてコンクリートになってしまった。
古い橋も残ってはいる。
物語では兄と兄嫁と母と四人でそこに滞在して漱石同様エレベータに何度も乗って
楽しんでいた主人公はある日、兄嫁と二人で和歌山に出る。兄のいいつけで二人きりで
話をする必要があったのだ。そしてある裏町の待合へ。おりから雨風が激しくなって
とうとう嵐になった。とても旅館まで帰れない。和歌浦は波に洗われて通れない。
ちかくの旅館に泊まらざるを得ない。
停電で真っ暗な部屋のなかで、二人きり、外は嵐、不安がつのる。そんな中、
二人は一夜をあかす。
ドキドキする描写が続く。
さて二人はどうなったか? ゆっくり「行人」を読んで下さい。
わしらもその奠具山に登ってみよう。
麓には鹽竈神社がある。
山の上には今は何もないけど、見晴らしは良い。
「片男波・・」だったころはええ風情やったやろなあって思う。
観光を考えずに開発が先にすすんだんやろなあ、今となればもったいない。
反対側をみれば遠くに紀三井寺が見える。
ええとこなんやけどなあ。
と思いつつ、車にもどって、今度は雑賀崎を目指す。
中学生の頃、よくママチャリを漕いできたなあって口ではいうけど、どこをどう
走ったかはさっぱり覚えてない。こんなしんどいとこようはしったわ。
たくさんの昔あった老舗の旅館や展望所はもう殆ど店を閉めてしまってるんとちゃう
やろか? 寂しい限りだ。
残った建物で営業できてるとこは多分、某隣国のお金持ちに買われてしまっから
ではないかと言う。寂しい限りだ。
雨やとよけいええ感じに見える海岸線の風景のなかをぐるぐるとまわりながら進む。
こういう景色が殆ど着目されてないのは、ほんとうに寂しい限りだ。
下の方に観光道路も見えるけど生きてんのか死んでんのかわからへん。
と言ううちに雑賀崎の灯台に着いた。
昔から大好きな眺めだ。
ここの夕陽が特に綺麗やと思う。
眼下には番所庭園が見える。
番所の鼻だ。
和歌山市内の方角も雨霧に煙ってええかんじだ。
では、もどって酒を飲もう。
久しぶりやからベロベロに酔いそうやなあ。
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ありがとうございました。