高山病爺さんがエベレスト街道を通ってエベレストを見に行くの記-26、シャンボチェの丘

雪が降ろうと雨が降ろうとしんどいことは早く終わった方がええ。一歩、一歩
足を上にあげたらそれだけ先に進む。本格クライミングみたいに絶壁必至で登る
わけではない。息苦しいのは何歩かに1回、2回、大きく深呼吸したらなんとか
いける。雪は本気で降ってきたんでそろそろ休憩を兼ねて雨具を取り出して着んと
あかん。来る前に友人から、「アイゼンとか持って行かでええんやろか?」って
聞かれて、そんなん聞いた事ないわこの季節は絶対大丈夫みたいやでって簡単に
言い切ったけどまさかこんなことになるとは思わんかった。まあしかし、この
程度であれば今迄なんどもアイゼンなしで歩いたことあるし、何の問題もないと
思う。しかし、このまま降り続いてたら積もって固まってくる。ちょうど帰るころ
そんなんやったらここの降りは大変やなあって思いつつ歩く。(実際帰りは大変
やった) 段々とガスってきて周りがよう見えへん。霧の陰からひょいと人が現れる。
あるいはひょいとゾッキョが現れる。

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なかなか幻想的な風景でもある。それに道が分かり難くてもガイドさんがいてるんで
道を間違うことはないから安心だ。
下の方に見えにくいけどなにか鳥がいてるみたいだ。

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友人のカメラは巨大な望遠レンズがついてるんでしっかり捉えられる。わしのは
眼では見えててもカメラには映ってへん。下の方ではヤクもうろついてるみたいだ。
もうここまでくると荷運びの隊列はいなくて、麓やこの山上で飼ってるロバや
ゾッキョやヤクなんかが自由に散歩してるみたいなのだ。

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そろそろ上り詰めたかと思えど、いつものようにまだ先がある。じわっと上の方に
小屋のようなコテージのような建物が見えて来た。一服してはる人たちに横を
抜けていくとだんだんと傾斜が緩くなってきたのがわかる。きついところは乗り切った
ようだ。2時間かかってへんからまあ大したことはなかったのだ。後は多分、
ほとんどトラバース的な感じで高低差はないと思う。確かに歩いていて気持ちがいい。
雪の中もエエもんだ。

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しかし、このまま雪が降り続いたら明日はどうなんのやろ、元気やったら4200メートル
にあるクンデピークまで行くか、クムジュンの村まで雪男を見に行くかという
オプションが実行できへんかもしれん。なんとか今晩中に降り止んで欲しいものだ。
それにしてもしっかり降ってるなあ。
風も強くなってきた。
ぐるっと回り込んだら雪の中にエベレストビューホテルが見えて来た。

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やっと着いたようだ。

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ありがとうございました。