京都、「わらじや」のうぞうすい

谷崎潤一郎に、「陰翳礼讃」というエッセイがある。
もともと日本人の家屋や暮らしは仄暗い灯りの中にあったということを書いている。
日が暮れたら、蝋燭や行燈の光の中にほのかに見える部屋のたたずまいがあって、
その微妙な色合いが美しいと書いているのだ。漆塗りの食器などの微妙な艶めかしさなどは
こういう光の中でこそ味わえるということなのだ。
その中に、「わらじや」が登場する。書中には「わらんじや」となっていて、こことは
ちょっと違うという説もあるがまあいいではないか。
確かに店内のどこにも、谷崎云々との文言はないから別の店のことなのだろう。
「昔は蝋燭の光で・・・・」と言われた店だ。

予約をしてなかったので、2階の広間で皆さんご一緒だ。
小さいが歴史を感じさせる庭が見下ろせて、前栽や庭石も茶席風に思える。

部屋は明るい。夕方だが電燈が眩しい、陰翳はないがうなぎの雑炊は有名だ。
最初にお抹茶が出て、呼吸を整えたら、先付けがでてくる。

食べ終わるのを見て、鍋が運ばれてきた。
あつあつの土鍋が木枠に載せられてやってくる。うなぎの白焼きが筒切りで入っている。
香ばしくて美味い。焼きネギに庄内麩、生姜が一緒に入っていて、一杯目は仲居さんが
取り分けてくれた。

「お好みで山椒を加えて下さい」

この山椒が実にうまいのだ。ふつうより少しピリッとして、香りが強く味も濃厚だ。
それでう鍋を食うと実にうまい。芳醇さが増すのだ。

結構量が多い。もうこれで十分と思える位だ。
それを食べ終わって一息ついていると、今度は、重そうに又土鍋が運ばれてきた。
更に熱そうだ。
「これがうぞうすいか」

「おいしそう」見た目にも美味しそうだ。
これにも山椒を入れてやろう。
「ふうふう、はっ、はっ」といいながらかきこんだ。
今日はかなり寒い日だから体が温まってちょうどよい。
それにしても量が多い。おなかがぱんぱんだ。

味付けも最初の一口二口は、「ちょっと薄味かな?」と思わせるが、なかなかどうして
食べているうちに味は濃すぎるくらいだというのがわかってくる。
うなべも含めて味付けは強いくらいのしっかりしたあじだ。
しかし、おいしかった。
又来よう。

店名 わらじや
ジャンル 鰻ぞうすい
住所 京都市東山区七条通本町東入(京都国立博物館のすぐそば)
電話 075-561-1290
時間 午前11:30~午後7:00
定休日 火曜
言語 日本語
メニュー なし

毎週水曜は食に関する話です。