黄果樹の街に到着
「ちょっと遠回りになるけど、今日泊まる街に着く前に、橋を見て行きませんか」
「普通で走ったら、その橋を渡るだけですぐ着いてしまうけど、旧道を行ったら、下から
橋が見えて、今からやったら夕暮れやから綺麗ですよ」
「そんなら行こうや」
「実はそう思て、ずっと旧道走ってたんです。それで渋滞に巻き込まれた」
「・・・・・・????」
まあ、ええけど。
貴陽から興義まで、貴州のほぼ西南の端、雲南省のすぐそばまで行っていたが、そこから
引き返す形で、ほぼ中間まで戻ってきた形になる。
実はその途中に、「双乳山」という、まるでふたつの乳房が地面から突き出たような、
そして乳首までそっくりという2連山があるのは知っていた。それで、その山を見に行きたい
と最初から旅行社に依頼していたのだが、「現在工事中だから見に行けない」という返事で
断られてしまった。しかし、こういう奇山の土地に来てみれば、やはり見ておきたい。
「見るだけでもいいから行きたい」と切り出したが、「何十キロも遠回りになる」と断られた。
いつも後で後悔するのだが、最初に行くところをきちんと決めて契約しておかないと、途中
の修正は殆ど不可能な事が多い。しかし、日本でガイドブックやネットで調べても限界がある。
来たから分かるという事もおおいのだ。
自由に旅行しようと思えば、気楽なバックパッカーをやるのがいいのだろうが、そこまで
いかなくてもある程度柔軟な旅行ができる方法を編み出さないといけない。
だんだんと日が暮れてきた。
村を外れて、田畑の中の路を登って行く。峠道になってきた。
もう殆ど上りつめたかなと思う頃、「あれや。橋が見える」
ちょうど夕方のガスがでてきて、その中に霞んで見える橋はなかなか綺麗なものだ。
「とっておき」というほどのモノではないが、これはこれでいいのだ。
そして、今日の宿泊地、黄果樹の街に着いた。
「あの木は何?」
「あれは玉蘭です」
「中国の女の子の70%は玉蘭という名前だよ」って冗談を言う人もいるくらい有名な木だった。
綺麗な白い花が咲いている。
日本で言う、白木蓮だろう。