滄浪亭と言えば、「滄浪亭」という有名なレストランチェーンが上海にもある
くらい有名な名前だ。由来は屈原の楚辞からと言うから、ちょっとしたことで
も軽く2000年以上の時空を遡るところがいかにも中国らしい歴史の凄さで
はある。その楚辞の詩を愛した宋の時代の詩人が造ったのだそうで、詩情に溢
れた優美な庭園だったらしいけど今はその庭園ではなくて場所も内容も後生に
小ぶりに改築されたものだそうだ。
わしがこの名前を知ったのは、「浮生六記」という本に出てきたからだ。
この本は前にブログでも書いたけど、哀しい夫婦の物語だ。白居易の琵琶行と
言う優美な詩を愛するような二人は、書画や読書、風雅を共として暮らしてい
るが、何かをして収入を得るような事ができない。そやから二人は心は気高く
ても貧しくなるばかりだ。それでも雅な滄浪亭のそばに貧乏暮らしを続けて、
とうとう妻は亡くなってしまうけど、その妻の葬式もあげられないという惨め
な男と女の話だ。中国では超有名な私小説で誰でも知ってるけど、こないだ、
アメリカのベリンハムという小さな町で、日本で大学教授をしてられた老人と
出会ったとき、彼はこの話に触発されて、自分の人生を「フローティングライフ」
と名付けた絵物語をパソコン上に作ってられたのを見せて頂いた。
では、現実の滄浪亭へ行ってみよう。
ここは蘇州の有名な庭園の中でも、派手さが目立たないひっそりした佇まいで
もあるんでわしの好きな庭園の一つだ。
ちいさな石の橋を渡って入る。
この石の門はただもんではないのではなかろうか?
あちこちに太湖石のしつらえがある。
奇岩を組み合わせて奇観をつくるのが中国の風流なのだ。
このうねるように長く続く回廊の屋根がここの庭園の特長の一つであるらしい。
確かに屋根のうねりが優美に思える。
それと、この回廊の窓の透かし彫りも特長の一つだそうで、これを通して庭園
を愛でるというのが趣向なのだそうだ。
こんな風に竹がさらっと植えられてるのも絵になるんよね。
日本の庭園鑑賞とは違って、動きながら見ていくという考え方。
出口の横に美術館がある。
この日は、水彩画の展示がしてあった。
中国の水彩画ってどんなんやろって興味がある。やっぱり水墨画の影響と言うか
素養を元に出来ているような感じがあって面白かった。
こういう構図の作り方や考え方、モノの捉え方は非常に勉強になる。
出口ところから見た滄浪亭の入り口のところ、この景色がわしは好きなのだ。
これを題材に絵に描いたこともある。
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ありがとうございました。