あめりか紀行あじあん風味ー31、グランドキャニオンで夕陽を見る

長い一日やったけど、だんだん山岳部に入ってきた。もうすぐグランドキャニオン
に着く頃だ。果てしなく雄大ではあるが、果てしなく荒涼とした断崖の風景に
落ちていく夕陽ってどんなんやろ。今から楽しみだ。

山の中を走ってると車が急に停まる。何って言うと、今、鹿が通ったと言う。
確かに道路を横切っている。あの森の奥からクマが出てくるかも知れへんから
よう見といてくださいという。
残念ながら写真を撮るまえに、あっという間に消えてしまった。
しばらくして、グランドキャニオンの入り口駐車場に着いた。運転手兼ガイド
さんが皆を展望台に向かって連れて行ってくれるんやけど、
「いきなり目の前に大パノラマが開けて大感激した。」と言うシーンを演出し
ようとしてか、変にもったいぶった歩き方で景色が見えにくいように進んで行
く。わしは前に一回来たことがあるんでびっくりせえへんでと思うけど、それ
を言うと気い悪いやろから黙っとく。
「さあここですよ。」と大げさに手を広げてみせる。

「なるほどなあ。」とわしらは感心してみせる。

確かに雄大な景色ではある。

遥か古代に思い切り広い砂漠の平地があって、何かの天変地異で、地が裂けて
地獄の底まで亀裂が走り回ったような感じを思わせる。
ほどほどに感動したころガイドさんが、この先左手方向に遊歩道が繋がってる
んやけど、そのまま30分ほど歩いたら、ビジターセンターみたいなのがあっ
て、その横がちょうどええ具合のビューポイントになってる。そこで日が沈む
のを見て下さい。20時になったらその横の駐車場に迎えに来ますって言う。
今は17時半過ぎだ。2時間以上も景色見んのに必要ないけどなあ。その間に
晩飯でも連れて行ってくれたらええのにと思うけど、そういう都合になってる
んやったらしょうがない。言われたとおりにしょう。
スケッチしょうと崖の方へ降りていって危うく滑り落ちかけたり、ビジターセ
ンターでコーヒー飲んだり。うだうだ喋ったり、ちょっとスケッチしたり。
いろいろやるけど中々時間が経たへん。
19時半を過ぎてようやく兆しがでてきた。

段々陽が入っていく。
やっときた。疲れた。
みんな一生懸命写真撮ってる。

なかなか綺麗な夕陽であった。
真っ暗になった中、駐車場に行くと迎えの車が来ていた。
今からホテルに言ってチェックインするから、その後、各自、自由に晩飯を食
いに行けと言う。レストランは一軒しかなくて、ホテルから歩いて20分ほど
かかると言う。しかも真っ暗で街頭もないから気をつけろという。
しかも、多分21時で終わりやからさっさとせんとあかんと言う。
何を言うとんねん。そんなんやったら先に飯食わしといてくれたらよかったん
やと思うけど後の祭りや。でもそれは無茶やで、他に方法ないんかと言うと、
レストランの隣にスーパーがあると言う。そんならそこで食うもん買って、ホ
テルの部屋で食うから、そこまで送っていって待っててくれと要求した。
えらい段取りの悪い、けったいなツアーやなあって驚きかつ呆れた。
まあ、とにかくわしらはスーパーで調達した食いもんとビールで乾杯して寝る
ことにしよう。
明日も朝早い。

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ありがとうございました。