又々文楽公演の季節がやってきた。いつも必ず見れるわけではないけど、出来
る限りは見たいと思っている。
それで、今回は、前半が双蝶々曲輪日記で、後半が奥州安達原となっている。
歳をとると、通しで一気に見るのは大変なんで半分ずつ見ることにした。特に
見たいのは後半の奥州安達原だ。席をとる加減で、後半を先に見ることになる。
16時の入れ替え時間には結構大行列ができている。まだ人気は衰えてへんのや
なあと安心する。最終的には80%くらいやったかな。
いやあ、この演目。
大迫力。大感動やった。
すばらしい。
それぞれの太夫全部にえらい気合いが入ってるような気がする。
そういう演目なんやろか。
それにしても出てくる男も女も、哀しすぎる。己を捨てて、身を捨てて。
それでも死ぬしかない道をひたすら突き進んでいく。なんでこうなんのって、
言うてもそれが定めなのだ。
その成り行きを声を張り上げて語りあげてくれる。
特に呂勢太夫さん。泣かせの名人やね。
次から次に涙がでてとまらへん。冷静に考えたら、そこまで泣くような話では
ないんかもしれんけど、つい泣いてしまう。芸の力やね。
すごいもんだ。
前の方に座ってるご老人も、さっきまで居眠りこっくりしてはったのに、今は
ハンカチで涙拭いてはるではないか。
一つ前の女性は、舞台をほとんど見やんと、太夫さんばっかり見てはる。
あんなに見られたら気持ち悪いんとちゃうやろか。
泣きながらそう考えた。
その後の千歳太夫さんも大奮闘だ。
見台をつかんで立ち上がり、半身になって大音声で大熱演だ。
聞いてても力が入る。
今回は、ええ席があたって、太夫さんのすぐ前やったんで、舞台は少々斜めに
見やんとあかんのやけど、語りはすぐ目の前だ。
そしてとうとう、最後の一つ屋の段。
文楽最凶の女、鬼婆がでると文楽劇場のメールにあったけどその通り。
凄まじい場面。
こんなん文楽でやるんかいなって唖然とした。
演芸の域を超えてるんちゃうの。すばらしい芸術やと思う。
鬼婆、岩手の凄まじさ。
人を食らい、妊婦の腹を割き、胎児をとりだして血を絞り取る。
ここまでこの婆を突き動かすモノはなんなのだ。
そしてとうとう、
親子の情、夫婦の情、男と女の情、主従の恩讐、ありとあらゆる渦巻く怨念が
大爆発する。
いやあ、すごい演目でした。
みなさん舞台で是非ご覧下さい。
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ありがとうございました。