盤水門の露店骨董屋
「この水門のこの角度から見る景色を日本画の竹内栖鳳が画いてるよ」
さすがに老師は画の道には詳しい。
「私もここの風景は子供の頃、何度も何度も画いたよ」
「大作を仕上げて、○○というところに飾ってもらったこともある」
成る程、老師の水墨画の課題にこの水門が出て来たことがある。
いろいろ画にまつわる話をしながら感慨深く水門の周りを歩いていたら、中に入ってちょっと
回り込んだところに露店の骨董屋が店を開いていた。
「こんなの許されるの?」と思うが、どうどうと店をやっている。
「これ本物やで」と老師が立ち止まった。
老師は骨董の目利きを自慢していたことがあった。どんなものに興味を示すか、私も興味がある。
老師はいきなり値切り始めた。
最後は200元にしろと言っている。向こうは大声で、「こんなええもん、そんな値段にできるか」
とわめいている。
私はちょっと欲しくなったので、老師の交渉に分乗して、「300元で買ってもいいですか?」と
聞いたら、「私は200やないと買わへんから、ええよ」というので、「300」と言うと、
「○△×・・・・」いろいろわめいていたが結局は交渉成立だ。向こうの勝ちということだ。
老師はもう他に目がいっている。ちいさな銅の透かし彫り細工みたいなのをみている。
「なるほど確かにええもん見つけるわ」と思っていると、又交渉を始めた。
自分の値段になるまで絶対に妥協しない。結局、他にも2つほど買って、全部でこれだけと
思い通りを貫いてしまった。
「それは本物やけど、これとこれは偽物やで」と分かって買っているようだ。
それにしても交渉は面白い。品物の由来や価値について、喧々諤々と言い合いをしているようだ。
もうまるで蘇州弁やし、滅茶早口やから何を言うてるのかまるでわからない。
しかし、周りの人は楽しそうだ。見物客がどんどん集まってきて二人のやり取りを聞いている。
上海の骨董屋もおもしろかったけど、こっちの方がもっと面白い。
しかし、この皿どうなんやろ。
楽しみやなあ。