路上の骨董店
「この子ずっとついてくるなあ、どしたんやろ。ちょっとめんどくさいなあ」
やりすごそうと、立ち止まって、ゆっくり写真を撮っていたら、その子も立ち止まって
じっと待っている。私が歩いたら歩き始めた。そのうち並んで歩き始めた。
「○△・・・」とうとう何か喋ってきた。日本ではいろいろ事件があるので、知らない
子供に道端で話しかけるのは、こちらも抵抗があるのだ。
「わるいけどなあ、ベトナム語喋られへんのや」と英語で行ったが、あいまいに頷いて
いる。ちょっとくらいは習っているようだ。
「学校の帰りかい?」と身振りを交えて聞く。
「うん」
「いくつ」数を指で見せると、11と指で示した。
小学生か。かわいいなあ。
「そのカメラええなあ」とか片言の英語で喋ってくる。少しは習っているのだ。
とうとう一緒にフォン川にかかる西から2番目の橋を渡ってしまった。
交差点のところで、「あっちに行くから」と右側に行く身振りをすると、その子は、
左を指さした。
「さよなら」と手を振ると、笑顔を一杯にして、彼も大きく手を振った。
髪の毛がどんどん白くなるので、どんどん安心されるおじさんになっているのだ。
川のこちらは旧市街だ。川に沿って、3番目の橋まで下ってみよう。
こちら側も人の動きは変わらない。むしろ交通量が多い位だ。大きな道をバイクが
ガンガン走っている。川岸は向こう側と同じように緑が多いが公園にはなっていない。
ふと見ると、歩道の橋のフェンスに皿が一杯並んでいるのが見えた。
どうやら骨董屋さんが、品物を並べているのだ。
並んでいるのは皿やお椀など小物が多い。多分想像するにこれは私設骨董屋だろう。
適当に骨董品らしきものを集めて店舗なしで安直に売っているのだろうと思う。
「でも、もし掘り出し物があるとしたら、こんなとこにあるんやろうなあ」
プロがしっかり目利きして並べたものは、それ相応の値段がするはずや。
それで、しっかり見て歩いた。結構何人かがやっていて、長きにわたっておいてある。
しかし、同じようなものが多いし、目を引くものはなかった。
こういうものは見るだけでもいいものだ。変な土産物屋を覗くよりはずっといい。
今日は良いものに行きあたったものだ。