フエ、朝の散歩
晩飯を食ったら、マッサージでも行こうと又新市街をうろついた。実は昼ごはんの時、
一軒だけ目をつけていたのだ。しかし、どうも美容マッサージのようだ。うろうろしても
他は見つからない。
「こらあかんわ」と思い、しょうがないからとぼとぼとホテルに帰った。
外は、真っ暗やし、酒を飲んでの帰りは少々つらい。「それでも何かないかな?」と
目で探しつつ、ホテル近くまで来た。念のためにホテルの裏の方に回って見る。
「何のこっちゃ」、結構食べるとこがあるではないか。こんな事なら最初からこの辺を
探せばよかった。勘が働かない時はしかたがない。
「あしたええもん食べよ」
翌日は全くの自由行動だ。ゆっくりフエの市内を探索しよう。
まず、フエ駅に向かう。ホテルを出たらもう見えている。表通りを左に曲がるとすぐ
橋がある。フォン川から市内に流れ込み支流だ。橋を渡って川沿いの道を越すと
駅前広場に出た。殆ど人はいない。タクシーもバイクタクシーも少しだけだ。
「昨日の朝着いた時間よりすこし遅いかなあ」しばらく列車はどちらからも来ないの
かもしれない。駅舎はちょっとおしゃれな洋館だ。待合室がない。
と思ったら、別棟に大きな待合室があった。しかしまだ人は集まっていない。
川沿いの道に戻る。フォン側と出会うところあたりに大きな橋が見えている。
フォン川に架かる橋のうち一番上流側にある橋だ。駅から出て川にそって左に曲がる。
ちいさな道だと思っていたが、人通りが多い。勿論歩く人は殆どいない。家の外を
うろうろしている人だけだ。殆どがバイクか自転車だ。
「坊さんが多いなあ」昨日も感じたけど、今日も多い。
川を見下ろすと、川辺に水上生活者の舟が幾つも見える。
ちょっと厳しい風景だ。
線路が見える。昨日乗ってきた列車が走る線路だ。
橋の上をその線路が通っている。昔日本人が造った線路だと昨日ガイドが言っていた。
列車だけではなく、人用の通路もある。
「行けるなら渡ってみよう」と思って、側橋のところに行った。
「渡れない」
バイクがすれ違うのも厳しいくらいの狭い橋を切れ目なくバイクが通っている。
とても人は入れない。通る人がいないからそんな配慮は必要ないのだろう。
残念だが、別のコースを歩いて行こう。