阮王宮の昔を偲ぶ
この宮殿も中国に倣って紫禁城と呼ぶそうだ。
当然ながら風水の考えで建築されている。北に山を背負って、南面し、山からの気が
集まるところに宮殿を建てる。東西南北に都を築き、南に川を配する。
そのとおりだ。
しかし、今は昔。フエの近くにはベトナム戦争時に米軍の基地だったダナンがある。
このあたりは激戦地だった。この紫禁城も殆どが空爆で破壊されたのだろう。
ガイドによると空爆もさることながら、その後の台風で壊滅的に壊れたのだと言う。
破壊されたとは言え、土台はしっかり残っている。
そして、既に修復が始まっている。
これは、うまく修復したらなかなか興味深い味ある建物や庭園が復元できそうだと
思わせるものがある。
しかし、中国流に、まるで昔のものがなかったかのように、見事にさらっぴんで造って
しまったら味もそっけもない。できるだけ昔の素材を使って慎重に復元してもらいたい
ものだ。
「あの瓦屋根はは陰陽の考え方で造られてます。凸は陽で、凹は陰。陰からは草が生えて
いるでしょう」
「あの屋根にある動物は皇帝のしるしです。こちらは皇后ですね」
「この建物はフランス植民地時代に諸外国に貴賓を招い建物です」
ガイドは一生懸命解説してくれる。
親切はありがたいけど、しっかり聞かないと気の毒だが、めんどくさい。
こういうところはじっと見ているほうがいい。
しかし、外国に国を売って、民を売って、自分達だけの栄華のあとなんやなあ。
ちょっと寂しい。
宦官まで居たそうだ。
廃墟に緑が良く似合う。
門まで戻ってもまだ時間がたっぷりある。これからどうするんだろう。