サパの街は霧に包まれている。雨でもふっているように暗くてじっとりとしている。
峠を越えて坂を下ってきた。坂にそって街があるかのようだ。ずるずるっと下って
旅行社の事務所に着いた。
「今から、それぞれホテルに案内します」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ、私のスーツケースはどこにあるんや?」
「スーツケース?」、
「バックハー村に行く前にバスにのるとこで、ここへ置けって言うたやんか?」
「・・・・・・???。そりゃそやけど・・・」
ころっと忘れてたみたいだ。「しまった。恐れた事が起こってもた」
いろいろ言い合いながらも向こうも非を認めて、ラオカイに電話している。
「心配ないよ、明日持ってくるから」
「待ってよ、明日やったら困るで、昨日は夜行で風呂入ってへんし、今日も一日
旅行したし絶対着替えしたいんや」、「とにかくホテルに行って下さい、後で連絡するから」
しかたないホテルに向かおう。
「何か困ってんの?」同じバスで来た人が聞いてくれる。チェックインが終わって
部屋に入ったら急に不安になってきた。スーツケースはあるのか?今日戻ってくるのか?
本当に連絡くれるのか?もやもやが充満してる。
そこで、もともと契約したハノイに旅行社に電話した。緊急の日本語対応があるのだ。
こういう時にこれがあると助かる。いろいろ説明すると、きちんと対応してくれた。
しばらくすると電話があり、「スーツケースは見つかった。2時間後に届きます」と
言う事だ。実に有りがたい。ほっておいても持ってきたかもしれないが、安心感が
全然違う。やっぱり日系の旅行社に頼んでおいてよかった。
しかし、もしや?と思った時に面倒がらずにきちんと確認しておかないといけなかったと
自分自身には猛反省だ。自由な旅をしたかったらやることをきちんとやっておかないと
いけない。
安心したら腹が減ってきた。待ってる間に飯を食おう。外まで出かける元気はないから
ホテルで食べようと食堂に行ったら、見慣れた顔がいた。ハノイ出発の時一緒だった
カナダ国籍のベトナム人だ。「一緒に食べよう」と声をかけてくれた。へこんでいる時
には有りがたい。飯もあんまり食べる気がしいへん。ビールで流し込もう。
飯を食ってもまだ時間がある。「そや、マッサージでも行こう」
フロントで近くにマッサージがないか聞くと、案内してやると言う。ごく近くだ。
「寒っ」待合室は外と変らんくらいひんやりしてる。早く暖まりたい。
「ぎょっ」マッサージ室もひんやりで、扇風機型のヒーター一つだ。
「服を脱いで下さい」、そりゃそうやけど、寒すぎるやんか。
「脱がなきゃできません」きっぱり言われた。「ヒーターこっちへまわして」
動かして貰っても我慢できんくらい寒い。揉む場所以外は毛布かけてもらっても
がたがた震える。「何でもええから早う終わってくれ!!」祈るしかない。
やっと終わってフロントまで戻ると、「スーツケースが戻ってる!」
「さあ、風呂に入って暖っまろう」
しかし、試練はまだ続くのだ。
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