ホーチミン、フエの旅ー30

道端の果物屋
両側に並ぶ薄いピンクの壁の建物とその瓦屋根がどことなく童話的だなあと思いながら通り
抜ける。「あれっ、どっかおかしい」と気がついた。
この寺にはご本尊を祭る本堂がないのだ。どんな寺でも、その宗旨にかかわるご本尊が
仏像として安置されている本堂があるものだと思い込んでいた。しかし、ここにはそんな
ものはなくて、僧侶だけがいる。
修行の場に徹しているのだとすれば禅寺よりもっと小気味がよい。
ちょっと嬉しい気分で外にでた。空は曇っているが、雨はもう振る気配がない。風もなくて
気持ちがいい。ここからは、阮王宮址に向かう。旧市街の殆ど全部を占めるということは、
フエの市街地のほぼ半分を占める広大な宮殿址だ。
「車がきますから」
門前に小さな売店がある。
その横に露店があって、おばさんが二人店をだしている。
覗きこんでいると、ガイドが店のおばさんと話をしだした。どうやらおばさんが売っている
お菓子を買おうとしているようだ。よくわからないが、この地でとれる木の実やフルーツを
お菓子にしているようだ。もしかしたらタマリンドかもしれない。
「これおいしいんですよ」と直径15cmくらいの円盤状になったお菓子を何個か包んで貰って
いた。私はそれより、となりの果物屋の方が興味がある。
「スターフルーツがあるやん」
南国にくると、マンゴーやスターフルーツがおいしい。
こういうところでおばさん達と話をしながら自分だけで買い物できたらいいな。
その為には言葉を覚えなくてはいけない。
寺は旧市街の西の外れ、王宮の入り口はほぼ真ん中だ。中国式の王宮らしく、周りに堀が
巡らしていて、長い城壁に囲まれている。西安で見た長安の都址の小型版といった感じだ。
フォン川にかかる3本の橋の、真ん中の橋を渡ったあたりに正面の入口がある。
ここまで来ると観光客が沢山いる。欧米人が多いがたまに日本人のグループもいる。
中に入ると広大な廃墟であった。