先日、画の老師と友人たちと、書の老師を訪ねて岐阜に行った。
合流してから、皆で犬山に行くこととした。
朝はあいにく少雨で始まったが、途中から晴れてきた。
電車をおりて少し戻ると、川のほとりに出る。
大河だ。
長良川。日本ラインはここから始まるということだ。
長江程の規模はないが、はるか山間から悠々と流れてきている。
川下を見やると、遠く小高い山の上に小城が見える。
空は、茫漠としている。
この城は中国の白帝城になぞらえられているそうだ。
なるほど、地の利は似ているかもしれない。
大河の傍にひっそりと佇む古城だ。
陸遊に「多景楼」という詩がある。
遠くに連なる山は画の如く、
かすみの中、佳き景色は縹渺としてよく見えない。
あの孫建、劉備の戦いがあったのはいつのことやら。
この犬山の城もこうやって戦火を生き残っている。
多景樓 陸遊
江左占形勝 最數古徐州
連山如畫 佳處縹渺著危樓。
鼓角臨風悲壯 烽火連空明滅 往事憶孫劉。
千里曜戈甲 萬竈宿貔貅。