こないだ大阪アースダイバーなる本を読んでいたく感心した。
なるほど、地形とその成り立ちで歴史を考察するといろんな事が見えてくる場
合もあるのか。堺でいつも見慣れている仁徳天皇の御陵も昔は今のように鬱蒼
とした緑の中にあったんではなくて、磨いた石板でびっしり覆い尽くされてい
てきらきらと輝いていたのだそうだ。他の御陵も同じで、生駒の麓にある沢山
の古墳群もそういった装飾がされていたのだそうだ。
そうなると、今は巨大な都市の中に緑で囲まれた神秘的な一帯が点在するとい
うように見えるのに比べて、まだ干潟の多いなにわの地で未開の土や畑や緑が
一杯の中に、日を浴びて一際輝く御陵がきらきら見えているという時代もあっ
たのかもしれない。そうなる今の写真の明暗を反転して見るような景色やった
んかと思うと実に興味深い。
歴史は風景をも反転させる。
さて、もしかしたらそういう感慨が高いとこから堺の街を見ると湧いて出るか
もしれんと思った。それなら幸い、堺市の市役所まで行ったら、21階の展望
台に無料で上れるというのに気がついた。
もう出来て何年にもなるが登るのは今回が初めてだ。どんな景色が見えるんや
ろ。役所の無料の展望台やから特別な仕掛けはない。21階のボタンをおした
ら自然に上にのぼる。ついたら止まる。展望台にでたらこれまた無料のボラン
ティアの方が解説をしてあげようと待っていてくれる。とりあえず目を合わさ
ないようにしてガラス窓のそばに急ぐ。
南側が一気に広がっている。
昔は全部、海やったんやろなあ。
そして東側に御陵が見える。緑の塊だ。今はたとえこれがきらきらしてもそれ
ほど大きなインパクトはないかもしれない。まわりのそこらじゅうが緑や土く
れだって初めてどはでなプッシュ力が発生するんやないやろか。
その遥か向こうは羽曳野の丘を越えて二上山から大和三山に抜ける道に繋がっ
ていくんやろ。春のおぼろでよう見えへんなあ。
生駒も遠い。
東西のスピリチュアルな線は実感できへんなあ。
西は海岸だ。臨海工業地帯。夜はきっとこっちが綺麗なんやろなあ。
21時までやってるそうやから夜はきっと人気の観光スポットになってるんや
ろなあ。時代の力を見せるのは今は、御陵やなくてこっち側ということなのだ。
北側に回るとこんな景色なんか。東西南北、よう変わらへん。
平べったい特徴のない街やんか。なんか悲しいね。
この遥か先には上町台地があって、南北のスピリチュアルな線が走ってる?
行き着く先が四天王寺を通って、難波の宮?
物部氏の恨みの跡は? 聖徳太子の想いの跡は?
あんまり感慨が湧いて来えへんなあ。
道は確かにまっすぐ大阪に向かってるけど。
時とともに全てが平らになって、街も均されて、人も均されて平凡な土地柄に
なってしもたんやろか。
もうちょっと上に昇って空から見ることができたらまた違う感慨が湧いて出る
かもしれんなあ。
まあ、ある日のちょっとした気散じの街歩きであった。
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ありがとうございました。