最近久しぶりに元の会社の元の同僚から連絡を頂いた。
最近の刻字作品を記念にあげようというのです。
その人は仕事の傍ら書をやっていて殆ど専門家の領域に居る人です。
その人が刻字もやっているという事で以前展覧会に見に行った事が
あります。
刻字というのは板に書を書いて、それを削り出して金粉をつけて
仕上げるのですが、いわば篆刻を板に施すようなものです。
篆刻は印字したものが作品ですが、刻字はそのものが作品なので
字は見た通りのものです。
刻字という世界はしらなかったのですが、字というのは、特に篆書
や甲骨文字などで感じる呪力のようなものがあります。
元々祭祀の形を抽象化して字になったのだからあたりまえかもしれませんが
そういう迫力が書とは又違った印象で感じられます。
この書は、李賀の夢天というファンタジックな詩です。
蝦蟇や兎が寂しげに鳴く月の世界で、美しく着飾った貴公子達が逢引き
しているあやしい街角。
三神山の麓では千年なんてあっという間の事。
見下ろせば世界は九つの小さなもやのようだ・・・・
老兎寒蟾泣天色
雲樓半開壁斜白
玉輪軋露濕團光
鸞珮相逢桂香陌
黄塵清水三山下
更變千年如走馬
遙望斉州九點煙
一泓海水杯中瀉
しかし、夢を持っていろんなことを夢中でやってきたけど、できなかった
事も多かった。あの時あと一年あったら・・・・
というのは凡人の嘆きです。
ご同輩方すみませんでした。
毎週月曜はこだわりのモノの話です。