ごく普通のおばさん。修道院で働く信仰心の篤い家政婦さんだ。
その人の憩いの場所は村にある森だ。
毎日森にいって、木や花や森の精霊と話をしている。
そういう日々のなかでいつしか森の精霊が、セラフィーヌに画を描けというのだ。
貧しい家政婦の暮らしで、絵具やキャンバスを買えるはずもない。
それでもいろいろくふうしながら画材を整えるのだ。
勿論、画は木や花やそれに宿る森の精霊だ。
それが、ある日、村に逗留していたドイツ人の画商、ウーデの目にとまる。
ウーデは、ピカソやルソーを有名にした人らしい。
原始的な心の躍動を画の中に見てとるひとだったのだろう。
映画の中でも、アンリ・ルソーの画が登場していた。
そして売れ始めた。
お金が入ると色々な事が起こる。
でも、それでいいじゃないのだろうか。
自分の画が金になったのだから好きに使えばいい。
彼女が幸福だったかどうかはわからないが、画は素晴らしい。
大好きな木や花や森の精霊から力を貰って描いているというのがよくわかる。
力強くて暖かい画だ。
この世ならぬものに導かれてひたすら画を描く暮らしができたというのは素晴らしい。
油彩と水墨の違いはあるが、画を学ぶものとしては、大きな元気をもらうことが
できた。
毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。