太宰治、「惜別」
最近、太宰治がひそかな人気を集めているそうだ。
という事で図書館に借りに行った。
惜別。実朝と魯迅の話。
実朝といえば若くして暗殺された和歌の天才としか知らなかった。
どう生きてどう死んだか、独特の文体で鋭く切り取られている。
天才故になしえたもの。見えたもの。そして自分の死まで見えてしまった
悲劇がだんだんと見えてくる。
一国の主が宋に行けるなんてどうして思ったんだろう。
楽しい夢をみたんでしょうね。
魯迅が仙台で暮らした話はよく聞くけれど、どうやら中国人の方が
詳しいようだ。
特に藤野先生。私はてっきり文学の教えをした人だと思っていた。
先日、雲南に旅行に行った時知り合った中学の副校長が文学の専門家だったの
だが、日本では藤野先生を一番尊敬していると盛んに言っていた。
それで何か文学の作品があるのかと漠然と思っていたのだが、実は解剖学の先生
だったのだ。魯迅の日本での勉学の助けをし、ひいては文学の道にすすむ
きっかけになった事件に大きくからんだ人だから、魯迅の中での位置づけが
大きいのだろう。
太宰治、「二十世紀の旗手」
狂言の神、虚構の春とかは別の作品と合わせて三部作になっているらしい。
変質的であるような、狂気であるような。
じつはそう思わせておいと・・・・
といったような作為に満ちているような感じがしてくる。
一方では、天才文学者と謳われ、世間から期待もされながら
破滅に向かうしかない生きざまとどうしても死の、特に情死の誘惑から
逃れられないおのれの姿を斜めに切り取ればこんな形になるのだろうか。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。