篆刻の楽しみ。久し振りに大きい篆刻石を彫った。

去年の11月に中国の杭州や温州に旅行に行った。杭州に旅行に行った時はいつ
も文房四宝の道具類を買うのが楽しみの1つだ。それに、画仙紙や篆刻に石等
も買ったりする。今回も、同行の皆さんと篆刻の石屋さんに行った時に、帰り
がけ、面白い石を見つけた。大きいやつだ。
しかも変な形をしてる。大きい四角のはよく見る。えらい先生方が作品発表な
んかに使ってはるやつだ。しかし、こういう変則なのはあんまり見いへん。
石材からよく売れる四角いサイズをどんどん切り出した後、余ったやつをもっ
たいないんで表面を磨いて商品にしたんやろか?
でも変な形が面白くもある。こんなやつをいつか彫って見たくなる時が来るか
もしれん、値段も安いし思い、買って帰った。
そのうち、しばらくしてやっぱり彫って見たくなった。
変わった事をしてみたくなるのはよくあるのだ。
で、何を彫ろう。
大きい字をドンと彫るのは何かおもろない。
出来たら、与謝蕪村の句かなんかを彫ってみたいけど、日本文は、わしの字が
拙なすぎて絵にならないような気がする。
昔の塚かなんかから出てきたような雰囲気で文章の一部が欠け欠けしながら見
えるのが面白いかもしれん。
いやいや篆字で大小入り乱れて配置するのはどうやろう?
いろいろ考えて見るに、この大きさやったら短い漢詩を全文入れるくらいが
丁度ええんとちゃうやろか。例えば、五言絶句やったら20文字だ。これくらい
で配置を考えてみよ。
最近気に入っているのは、李商隠の「楽遊原」と言うやつだ。
晩(くれ)に向かいて、意(こころ)適わず、
車を駆って古原に登る。
夕陽、無限に好し、
只、是、黄昏に近し。
ちょっと寂しくて美しい。大きな、真っ赤な太陽がゆっくり草原の彼方に落ち
ていくところが目に浮かぶ。
よし決まった。これで行こう。
石の裏側は平らではなくて削り出した岩のごつごつが残っていて裏むけると、
とても収まりが悪い。それでなんとかしようと、ホームセンターをうろついて
紙粘土を見つけた。これを裏にはりつけて平らさをおぎなう。
なんだか入れ歯の台みたい。

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次に印稿を作る。
まだまだ下手くそやけどこれがわしの実力やからしょうがない。コピーして
転写する。コンビニのコピーはトナーのカーボンが薄いみたいでよく転写でき
へんけど他に方法がない。
転写が終わったら粘度の台に石を載せて彫り始める。
大きいんでぐいぐい力を入れるのが気持ちいい。どんどん彫り進めるうちに行
きどまった。石のところどこに硬いところがあるのだ。それは最初から分かっ
てた。もし、彫れなかったらそれはそれで味ということにしようと思っていた。
場合によっては割れたり欠けたりするかもしれん。それも好都合としようと思
っていた。
やっぱり硬いところは彫りにくい。彫れなくてもいいことにするにしても出来
るだけ形に近づけたい。ごりごり力をいれる。刃がすべる。それでもゴリゴリ
切ってたら手に豆ができそうになった。
なんだかんだでとりあえずできた。

in160416-2

まあええんとちゃうやろか?
自己満足やけどうれしい。
さっそく押してみよう。印泥をつけるのも、紙をあてて印泥が付きやすいよう
裏からこするのも並大抵ではない。
何度か失敗してやっとできた。
こんなやつだ。

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結構しんどかったけど面白かった。
これに絵を描いて作品にせんとあかんと思う。
たまにはこんな楽しみも良いものだ。

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ありがとうございました。