大阪のあるバーで偶々知り合いになった方が上海に駐在していられる。今回の短期留学中に一度見に行くよと
言うお話があって、先日、女義太夫公演の見学を兼ねて杭州に来られた。
その時に、本を頂いたのだ。
小原輝三著、「写真集 向銭看時代 中国 1988年~1997年豊かになれる人から豊かに」
という本だ。
京都の大学職員だった著者が、語学研修などの仕事で日中を行き来する長年の間に撮り溜めた写真を本に
したのだと言う。プロの写真家ではないが、普通の人が普通の人の目線で激動していく中国の庶民の暮ら
しを切り取ったものだと言うことがよくわかる。
天安門事件に関する写真多くあり、その事件にまつわる様々な思いがあり、社会的なさしさわりと、親し
い人の痛みを掘り起こすさしさわりを考えてながらく世にださなかったという話だ。
この本を下さった方もあの天安門事件については特別の感慨と痛みの感覚を持っていられて、毎年この日
がくると平静ではいられないというようなお話しも聞かせていただいた。
前に、山本市朗と言う人が書いた、「北京生活三十五年 中国革命の中に日本人技師」と言う本を読んだ
事がある。中国革命の時代から文化大革命の動乱の時代を中国人の中に混ざって一技術者として行き抜い
た人の話だった。この本はその後の時代を看てきた人の話だ。
「向銭看」とは面白い言葉だ。「向前看」という言葉があって、前向きに進むという言葉をもじって、お金
にむかって進む人たちのことを言うことばなのだそうだ。現代中国をあらわしていて非常にわかりやすい
言葉だ。お金を儲けられる人から儲けたらいいという改革解放政策がもたらした新しい中国の姿の中で、
それほど急に幸せになれるわけではない普通の暮らしあるいはそれ以下の庶民の暮らしを切り取った写真集
なのだ。
1990年代の終わりころから2000年代に何度も仕事で中国に行って、見たような風景がこのなかにある。
中国の力でもあり、悲しみでもあるのだろう。
いろんな事を思い出しつつ考えさせられる写真集であった。
その方に様々な中国に関するお話を教えて頂きながら飯を食った。
普段、学生生活に浸りきって、朝は3元、昼は8元、夜はトマトと豆腐と言った暮らしをしていて、酒を飲み
ながら晩飯を食うなんて、日本以来の事だった。気がついて見ると、すっかり小食になってしまっていた。
大いに語り、痛飲、飽食というおつきあいができなくて非常に申し訳なかったと思っている。
この時は、小吃を食べに行った「知味観」の店が、河坊街の老街にもあったのでそこで食ったのだ。
これが有名な西湖錯魚なのだ。
紹興酒と黒酢であまずっぱい味付けをした淡水魚。堂々としておいしい。
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ありがとうございました。