猫鼠麺を食い終わったら意外と時間が経っていた。
特別時間に追われているわけではないが、一応仮に決めた列車の時間が迫っている。
特に用がないからそれに乗ろう。
一旦台中まで幹線在来線で行くのだ。
「おっと、えらい混んでるな」、ドアが開く前から人がびっしり乗っているのがわかる。
あまり降りてこないから、隙間に入り込まないといけない。台湾の列車の床は少し高いので
ステップを登りながら座席の角のポールを巻き込んで左に回ろうとしたら、端に座っている
人が左に袖を引く。
「何やろ」と顔をみたら、その人の左側が開いていて、「ここへ座れ」というのだ。
そのままぐいとひっぱられるようにそこに座った。「ありがとう」と言うとにやっと笑った。
ここにも何か暖かい心があった。
彰化から新烏日までは、2つ目すぐにおりる。朝来たとこやから新幹線台中駅はすぐわかる。
新幹線のチケットも自動販売機で買えば簡単だ。
ホームに出ると、台中の街が一望できる。
遠く霞の中に山々が茫漠と連なっている。
画にするのは難しいけど、こんな景色好きだ。
ホームに上って、列車を待つ。チケットを取り出して座席番号を確認しようとした。
こちらを見た駅員がすっと動きそうな気配を見せる。何か困ったことがあれば手伝ってあげよう
とする動作のスタンバイ状態に自然に動いたのだ。
ホスピタリティが嬉しい。
その時思った。
こういう事って、今日本人が忘れそうになっているものすごく大事なことと違うんやろか。
最近はマニュアル化された接客に出会う事が多い。
どこでも誰でも、声を出す、きちんと動作する。決して悪い事ではない。しかし、あまりにも
ステレオタイプなので鼻に着く事も多い。
やっぱり自然にでてくる心からの言葉や動作が大事だと思う。
確かに、精度の高い、均質なサービスの提供って大事なのはようわかるけど、方法として
いたずらに欧米のモノマネに走ってしまって、もともと昔からあったはずの、質の高い
「おもいやりの心やもてなしの心」を育む文化を生かす方向に目をむけなかったんとちゃうやろか。
わけのわからんことを考えているうちに、ホームのイエローマークがちかちか光り始めた。
列車が近づいてきたのだ。
台南駅までは1時間かからない。しかしここは新幹線の駅なので、在来線の台南駅まで行かねば
ならない。バスと沙崙線という連絡電車の2つの方法があるようだが、沙崙線で行くと台北の
交通カードが使えるのだそうだ。台南まで行くと今度は別の交通カードになるそうで便利だが
ややこしい。
沙崙線への乗り換えは気をつけないとわかりにくい。新幹線一番前の改札を出て、すぐ左の
方に向かえばよかったようだ。わしらは一旦外に出てしまったので、外からは見えてるのに
登りの階段がわからずにうろたえたがまあたいしたことはない。
30分ほどで在来線の台南駅だ。
これも日本統治時代の建物か、なかなか味のある駅舎だ。
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ありがとうございました。