奥泉光、「鳥類学者のファンタジア」
いやあ、実に面白い本であった。
ふざけたり、ぼけたり、つっこんだりとえらい適当に文、書いてるんかいなと思ったり、
えらいジャズに詳しいな。真髄をわかってるんちゃうやろかと思ったり、
ドタバタサスペンスみたいなもんかなと思っていたら、時空を翔るSFファンタジーの
ようであったりする。
「私はは柱の陰でひっそりと聞いている観客に向かって演奏してる」とキリコは思う。
本当に柱の陰に女がいた。
後をつける。消えた。どうも不思議とさぐっていくと、はるか昔ドイツで死んだ祖母
ではないだろうか。ピアニストで名前は霧子。
不思議なオルゴールが鳴らされると時空がゆがむ。
オルフェウスの音階。
フィボナッチ数列。
不思議な世界がだんだんとつながっていく。
パパゲーノという猫がいる。バッハと言う猫がいる。ナチスドイツの敗戦前。
宇宙オルガンは何を創りだすのだろうか。
実に不可思議。何が起きるかわからない。出たとこ勝負で楽しんでやれ。
それがジャズのスピリッツなんやね。
おもろいジャズを聴いているような本であった。
勝見充男、「骨董屋の非売品」
所謂、骨董品の話ではない。
非売品というのは超高級非売品という意味では無い。
「こんなもん売ってないやろ」というようなモノの話なのだ。
それでもそのモノは骨董屋でなければ持てないような眼で見つけ出されたモノであり、
唯の骨董屋では決して見つけだせないようなモノでもある。
モノのどんな姿に美しさを見出すのか。
モノから何を見つければいいのか。
モノに対する大いなるこだわりの心でモノを見ている。その目がうれしい。
参考になる。
画の世界でもそうだ。
景色を見ても、人間の世界を見ても、どういう目でモノを見るのかが大事な事だ。
そういう目を鍛えないと、良いスケッチができないし、良い画が描けない。
「敢えてどう見る」という、こだわりの心やと思う。
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ありがとうございました。