非公開文化財特別公開中という事で、京都の御所の近くにある冷泉家を訪れました。行ったのは土曜だったので、紅葉も始まり、秋の観光シーズンという事もあって行くのも渋滞で時間がかかるし、行ってからも混んでいました。
冷泉家というのは、かの歌聖といわれた藤原定家の孫が起こした家で、和歌の宗家として伝統を守っている家ですが、私は、定家の和歌、
「見わたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕ぐれ」
(すごい歌です。強烈なイメージの世界です。)への思いから、つい気になって見に行ってしまいました。
定家というのは、塚本邦雄の「藤原定家・火宅玲瓏」という本を印象深く読んだ事があります。
菊帝といわれた後鳥羽上皇との確執、お互いに和歌の天才を自負する2人の天才の姿が生き生きと描かれています。
一方は総てが思いのままになる帝王、一方は、新古今の選者の一人として名声を得ながらも、身分は天上人のほんの入り口、帝に翻弄される悔しさの中で、歯軋りする思いで和歌をつむいでいく人。
行き詰る相克があって、とても面白い本です。
何か、古文書でも見れればと思っていましたが、時雨亭文庫は外から見れただけでした。
一人の天才が創り育てたものが、その作品として残り名を留めるだけでなく、後の世に、作法として、様式として残っていくというのはそれはそれで、いいとして、狂言綺語の詩の世界を行く末としては、すこし違和感が残るものでした。
見わたせば花も紅葉もなかりけり
- 2006年11月23日
- 近畿地方
- 3人
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キムチ考