旅を墨絵に。ネパール−02、山の家、星月夜。

旅を墨絵に。

時々、あの旅のあの場面が蘇ってくる。

あれを描きたい。これをこう表現したい。

いろんな記憶が乱れ飛ぶ。なかなか、これぞというのが出来へん。

同じところの記憶であっても、絵に現してみたらあら不思議、その時々でえらい違う。

そんなもんだ。

描く度に上手くなってる?

そう思いたいけど、そうはいかん。あの手この手で色々やってみなあきまへんのやわ。

今回は。

ナガルコットからチャングナラヤンの峠道。

ネパールを旅の中でも、このコースを歩いた時がとても印象に残っている。

カトマンズから1時間半ほどバスに乗って行った山の中の村である。

ナガルコットの村に一泊して、尾根伝いにチャングナラヤンという古都に向かった。

長閑な道をポクポクと、とても良い旅だった。

まるで桃源郷を歩いたみたい。

ナガルコットの宿。

泊まったのは、峠の端っこにある、絶壁の上の小さな宿。

「雲海リゾート」。

かっこいい名前ではないか。

この名前に釣られてそこまで行ったようなもんだ。

宿の部屋から、渺茫とした山々が連なる。時にはそれが雲海の中に、見えつ、隠れつ。

その向こうにヒマラヤが見える。

眼下には無数の棚田が。

そのうえを雲が流れる。

ええですなあ。

夜になると、月が出て、しかも、満天の星の中に居るのがわかる。

星がまたたく 旅をつづけてきてゐる 山頭火

ええですなあ。

ほんでまあ。こんな絵を描いて見た。

  

実際は、この日は曇り。星も山も殆ど見えへんかった。残念なり。

心の目でしっかり見届けた。

嘘も方便、絵の世界。

見てきたような嘘を描き。

いつかまた、来よう。今度はほんまもんを見る。

   

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