「自縄自縛」
昔、昔の思い出。
学校を卒業して、初めての入社。
ちょっと遠方の寮に入れられて、毎日通勤してた。
3ヶ月ほど経ったころ、台風か集中豪雨かがあって、大雨になり、会社の近くの川が氾濫した。昔は堤防が低かった。
で、その日も出勤しようとしたけど、増水で行かれへん。
寮まで戻ったら、なんとなくようわからんけど、「待機するように」みたいな指示があったらしい。今みたいに携帯でんわや、メールやSNSがない時代だ。直接連絡がくることがなかった。
いつ、どうなるかもはっきりわからん。指示もない。
どうしよう。
どうしたかというと、自縄自縛の逆ですなあ。
何もないんやったら実家に帰ってしまおう。そのまま、大阪から和歌山の実家に帰ってボーッとしてた。2日ほどしたら上司から電話。
「お前、何しとんや? 皆、会社に来て片付けしてるで」
「そうなんですか? じゃあ、すぐ戻ります」
「出てこい」って連絡なかったと言うてしまえば角がたつ。
てなことで、出社。会社は泥まみれでえらいこと。
それでも、ちょい、おこられたけど、お咎めなし。
おおらかな、ええ時代やったんやね。
いつまでこの会社で持つんやろって思ったけど、結局30年以上、定年まで、延長まで、働いてしまった。
その間、幸い、災害はなかったけど、阪神淡路大震災があった。
わしらの会社自体は大きな打撃はなかったけど、今度は、仕事一筋の企業戦士。
変わったもんだ。交通麻痺の中、仕事場へ。
役には立たんけど頑張りました。
おもえば、あんまり、自縄自縛、金縛りってなかったかなあ。
何事にも鈍感なせいなんでしょうなあ。
「七転八起」
ある日ある時。
いきなり横っ腹が痛くなった。
痛くて我慢できへん。立っても痛い。寝ても痛い。一晩中苦しみまくった。
七転八倒というやつだ。
これはいかん。医者に行ってみる。
どうやら腎臓結石とちゃうやろかという診断。
しかし、検査の結果がはっきりしない。何やら検査してるうちに痛みも収まってきた。
うやむやのうちに様子見てみましょうということに。
七転八倒はどうなった?
5年ほど前のある時。
定期健康診断の結果がなかなか来いへん。不審に思ってたら、要精密健診の通知が。
嫌な予感。
それが的中して、胃がんの診断。一気に手術へ。2/3を取られてしまった。
全身麻酔やから手術は痛くない。その後が痛い。一晩がんばったら、あとはまあまあ。
その後も、多分順調。
考えてみたら、わしの人生って、艱難辛苦を耐えてやっと・・・とか、耐え難きを耐えて・・・とか、あんまりなかったんやろか?
ええ事も多くはないけど、悪い事も多くはない、起伏の少ない人生やった?
それでも、仕事のことを考えてみたら、何度も難しいことにブチ当たって、何とか切り抜けて、また当たる。そんなんばっかりではなかったやろか。
百転十起くらい?
楽しかったけど。
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