最近読んだ本、「あの夏のクライフ同盟」、「陽だまりの昭和」。

  • 2025年10月1日
  • 10人

「あの夏のクライフ同盟」

増山実 著

あじあん

世界は謎に満ちていた。謎に満ちた世界を知る入り口は、いつもサトルの文房具店だった。

旅の話をしたい。たった1日だけの旅だ。
サッカー部の仲間、サトルとツヨシとゴローとおれの物語。
北九州市の南に隣接する人口3万人ほどの小さな町の物語。
何もない漁師町。 セメント工場と日産自動車で町の暮らしが成り立ってる?
サッカーだけが人生だった日々。まだ、Jリーグがない時代。
サッカーマガジンが到着するのが待ち遠しい日々。
オランダの至宝、ヨハン・クライフの勇姿が心に刺さった。
ぼくらはみな、クライフ命なのだ。
今年のワールドカップは西ドイツ大会。テレビ中継はあるのか?
見たい。どうしても見たい。でも、無理そう。
なんとかしよう。なんとかできる?
SNSなんかない時代だ。ハガキしかない? テレビ局を動かす?
せめて決勝中継だけでも。
可能性は? NHKはダメ?
しかし、奇跡が?
広島なら? なんとかならんのか? 柳井なら?
ワールドカップ決勝が見れる。柳井へ行こう。
自転車で行こう。オランダ応援団も自転車で向かってる?
われらも。
いつも行く松山城趾から向かいに見えるのが防府ではないか。柳井はそのちょっと先。
絶対行ける。
たった1日の旅が始まった。
体力は保つのか? 自転車は? 食事は?
道を間違えた? 予想以上に時間が?
果たして間に合うのか?
青春グラフィティ。ロードムービー。
ええですなあ。
そういえば、わしも学生時代は北九州市に住んでいた。
とても懐かしい。
月刊誌や週刊誌などは九州が1日遅い。待ちきれんかったら、関門海峡を渡って、下関まで買いに行かんとあかんかった。
懐かしい。

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

「陽だまりの昭和」

川本三郎 著

あじあん

「失われた昭和」の風景を映画や文学などに「描かれた昭和」から浮かび上がらせる。

例えば、目次の最初の方はこんなのが並んでいる。
Ⅰ昭和の暮らし
郊外住宅地
犬を飼う暮し
こたつを囲んで
傘を持ってお迎え
井戸の水のおいしさ
Ⅱ女性たち
美容師
バスの車掌さん
見合い
ミシンで自立する女性たち
ダンスホール
マネキン・ガールの登場
小刀で削る鉛筆
わしは昭和真っ只中の世代を生きてきた。
どのページもとても懐かしい。
それぞれで、昭和の暮らしの1シーンを切り取った懐かしい風景が浮かんでくる。
全てがぴったりはまるわけではないけど、ほとんどが違和感なく気持ちに入ってくる。
そして、ほとんどの章でそれにまつわる映画が紹介されている。
さすがに見たことある映画は少ない、時代が合わへん、あんまり映画行かへん、なんせ子ども時代から映画見まくってる人は多くない。
それでも、気分はようわかる。
そういう時代であった。
とても懐かしい。
昔はよかったなあ。
今もええけど。
ええとこ見て暮らさなやってられへんやんか。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

あじあん

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