「鏡花 幻想譚2 海異記の巻」
泉鏡花 著
「娘は叶い難い人を思うて、焦がれ死になくなりました」
ああ、誰に見しよとて紅鉄漿つけよぞ、娘は叶ひ難い人を思うて焦がれ死になくなりました。誰を何う慕うたか分かりませんけれども、此の兎には思うことを皆打ち明けてあると申しておりましたに因って、お手許に飼って置かっしゃることなれば、永い中に、どんな夢枕に立って、あなた様、面白いか、嬉しいか、それとも辛いか、悲しいか、夢を御覧じまいものでもない、それでも大事ござりませぬか。
素晴らしい。
鏡花ワールド全開。
とても良い。
ある日、町に山深い湯涌谷から雪売りの親仁がやってきた。雪売りなって商売があるんか?
町一番の豪邸の令室がそれに気がついて下女を行かせた。
雪が欲しいのではなくて、一緒に持っていた兎が気になったのだ。
雪のように真っ白な兎、とても美しい。とても妖しい。とても気になる。
その兎は買えるのか。
さて、どうですかな?
兎はすんなり令室の懐へ。
そして、令室がいなくなった。兎と共に・・・
医学生が医王山にあらわれた。
医者にも見放された病人を救うという「月夜に色の深紅な花」を探しに来たのだ・
そして、美しい女に出会う。
女は花売り。売る花を探しにきた。いつもの山。
実は医学生は子どもの頃にもここにきたはずなのだ。
そして、母の病を癒すはずだというその花を見つけた。
花の病はどうなった?
この度の医王山。花はまた、見つかるのか。
この女は何者。
なぜ、山の中に・・・
そして何が起きた・・・?
とても面白い。
とても妖しい。とても惹かれる。
泉鏡花ワールド。
すばらしい。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
「TOKYO REDUX 下山迷宮」
デイヴィッド・ピース 著
「戦後最大の謎、下山事件。占領下の闇と謎と情念」
外国人作家が書いた日本ミステリー。
下山事件。迷宮入りの代表みたいなやつ。
占領下の日本で起きた事件。
1949年7月、国鉄総裁、下山定則が突然行方不明になった。
GHQのスウィニー捜査官が捜査を命じられる。
その後、遺体が発見された。深夜に列車に轢かれたらしい。
スウィニーは下山の足取りを追う。
下山は当時、数万人にもおよぶ職員の大量解雇に迫られていた。その責は一身にある。
その重圧に耐えかねての自殺か?
GHQの暴力化?
組合関係者の報復か?
反政府活動の謀略か?
不思議な足取りが見えてきた。
なぜ、出勤前に三越に寄ったのか?
そしてその後の足取りは?
銀行に?
いろんな情報が錯綜する。自殺か他殺か・・・裏付けは?
女がいた? それが・・
しかし、自殺以外になにが・・
闇に沈むばかり・・・
それから時が過ぎた。
探偵、室田のところに不思議な依頼がきた。
下山事件を追っていた作家黒田浪漫が失踪した?
探して欲しい。
果たして・・・・
面白いけど、作家の語り口にかなり違和感を感じる。
読み込み不足なんやろね。もひとつ入っていけない部分がある。
他のシリーズも読んだら慣れてくるかな。
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ。
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