デーヴァ・ソベル、「ガリレオの娘」
この本はすごい。じわじわと惹きつけられる内容だ。ガリレオの生き様に感動
してしまう。ガリレオには1人の息子と2人の娘がいたのだそうだ。それなのに
正式に結婚してないのだそうだ。息子は後に正式に認知したのだが、娘は認知
もしていない。そして2人の娘は幼いときから修道院に入れられて暮らしている
のだ。ちょっとひどい話のようではあるが、この当時の貴族やいい家の暮らし
の中ではほぼ当たり前でもあるようなのだ。そして上の娘とガリレオとの間で
頻繁に手紙のやりとりがあって、ガリレオが娘に出した手紙はもう残っていな
いが、娘がガリレオに出した手紙は高名なガリレオの遺品ということで残され
ていたそうだ。その100通を越える手紙を通して、生々しい生活者としての天才
ガリレオの姿が目の前に浮かんでくるかのようだ。
あの時代は誰もが驚愕し、賞賛する天才的な発見と考察があってもそれをどの
ように発表するかは物凄く面倒な手続きの要る時代であったのだ。
いきなりどっかの大学なんかで論文発表というようなわけにはいかなくて、理
解しやすいように戯曲仕立てにしたり、対話仕立てにして今までの考えはどこ
がおかしいのか、なぜこの発見に意味があるのかを説き起こすだけではなくて
教会側の誤解を招かないよう周到に話を運ぶ工夫をしながら何年もかけて準備
をして出版の根回しをして許可を得て、世にだすというやりかたなのだ。
ガリレオに似て、聡明な娘マリア・チェレステは修道院で暮らしながらも終生、
父を支え、支持し続けたのだ。本を出すときにその清書も引き受けたという。
しかしとうとう異端審問でガリレオの本は発行禁止になってしまった。
地球が動くと言うことを人に教えることも禁止された。
そして、ペストがはびこる暗い時代にとうとう娘もなくなってしまった。
今は故郷フィレンツェのサンタ・クローチェ教会に2人仲良く埋葬されているの
だそうだ。
ジョルジュ・シムノン、「子犬を連れた男」
ジョルジュ・シムノンの本はメグレ警視シリーズの探偵小説もおもしろいが、普
通の小説もそれにおとらず、というかそれ以上に面白いものが多いと思う。
犬と暮らす冴えない男がいる。仕事に行くにも犬といっしょだ。
名前はフェリックス・アラール、犬はビブだ。
男は死にたいと思っている。何か問題や悩みを抱えているというよりは、人生
を投げ出したがっているかのようだ。
男が勤める書店の女主人アンヌレ婦人も面白い。娼婦から成り上がって娼婦屋
を経営するようになって金をため今がある。妖しい。
フェリックスの過去がだんだん明らかになってくる。
ソルボンヌ大学を出たような男が何故こんな暮らしをしている。
もしかしたら受刑者なのか?
もしかしたら殺人犯?
アンヌ・マリーとの出合い、結婚、そしてどうなった。
コルニルとその妻、モニクとの関係は?
だんだんと事件の謎を解くのと同じような面白さにひきつけられていく。
何故なんや?
そして何が起こった。
愛とは暴力なのか?
(この本の写真とるの忘れた)
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ありがとうございました。