水上勉、「北京の柿」
本の箱に水墨画が描かれているので気になって買った本だ。老舎の家の柿の木をイメージ
して描いた画かもしれない。
「北京の柿」とは老舎の家の柿の木の事だ。もう何年も前になるが、夕暮れが迫り、閉館の
直前に老舎記念館を訪れた事がある。王府井近くの胡同の入り口付近にその家はあった。
元の住まいをそのまま保存したものだと思う。
四合院つくりの簡素な家の中には確かににつかわしくない位沢山の木があったと思う。
それが柿の木かどうかは気がつかなかったがこの柿だったのだろう。
文革前に水上邸を老舎が訪れたことがあって、いろいろな話をした中に蟋蟀を飼うの缶の話が
あって、「是非一度北京にいらっしゃい、其の時にこの缶をみせてあげましょう」という
会話をしたが、それが最後になってしまって、老舎は文革で槍玉にあげられ憤死して
しまった。その後、機会があって水上が北京の老舎の旧宅を訪れ、夫人に面会した際に
老舎の思い出として柿を贈られた。
こういう話だけではなくて、水上勉は日中を結ぶいろいろな仕事をしておられたようだ。
そういう中からこのエッセイができたのだろう。
確か障害を持った子供がおられたような記憶があるが、上海で中国医術の針をつかった
大手術を見学して、我が子に施してみたいと動揺する場面がある。
中国医学も奥が深そうだ。
エリオット・ヘスター、「機上の奇人たち」
旅の話は大好きだから、この手の本は実に興味深い。
フライトアテンダントの体験談だ。
あの狭い飛行機の中で実に考えられない事が起こっている。
勿論、ちょっと面白おかしく描いているのだろうし、いつもいつもこんな事ばかり起こって
いるわけではないだろうが信じられない事も多い。
酒を飲み過ぎて酔っ払って暴れる人、ゲロをはく人、無理難題を言う人。
こういうのは容易に想像できる。
前に、飛行機を降りてパスポートチェックの所まで歩いていたら、そばを空港係官に連行
されている酔っ払いがいた。かなり暴れて大声を出していた。
別の時にはビジネスクラスのおじさんが、酒をくれと騒いでいて、フライトアテンダントに
「あなたは十分に召し上がっていられますから」と厳しくはねつけられていた。
私も、二日酔いで貧血を起こして離陸寸前に迷惑をかけたことがある。
恥ずかしい話だ。機中出産なんか恐ろしいけど感動モノだとは思う。
しかし、まさかと思ったが、あろうことか飛行機の中で、トイレの中や、座席でまでナニをしたがる、
やってしまうカップルが沢山いるそうだ。ほんまかいな!
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。