最近読んだ本、「北条五代、上、下」。

  • 2021年12月16日
  • 2人

火坂雅志、伊藤潤、「北条五代、上、下」。

本の帯を見るとこんなことが書いてあった。
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「義」を重んじる武将を取り上げ、日本社会に一石を投じた火坂雅志。
歴史を通して現代的なテーマを描いている伊藤潤。
志半ばで倒れた火坂の想いを伊藤が受け継ぎ、現代人が共感できる新たな北条早雲を
生み出した。
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なるほど、2人の作家の思い入れが詰まった本なのか。ありがたく拝読しよう。
てなことで、読んでみる。
北条五代を描き切る。壮大なスケールだ。
北条早雲(伊勢宗瑞)から氏綱、氏康、氏政、氏直までの100年にわたる興亡の歴史。
わしは和歌山や大阪に暮らしてるから、近畿の事やったらとても身近に感じるけど
箱根から向こうなんてほとんど関心がなかった。いまでもあんまり関心ないけど。
歴史小説なんかを読んでると、つい、主人公がええもんで、相手が悪もんという感覚に
ひっぱられてしまう。それで近畿が舞台やと関東方面は敵方イコール悪もんという
肩入れで本を読んでしまう。
そんな人生だった。
それで、いきなり、箱根の向こうがメインの物語の世界。
結構、新鮮だ。
なるほどそっちから見るとそうなるか。
なるほど、武田信玄と上杉謙信の世界。こっちからみたらえらい違うやん。
今川義元、織田信長。
徳川家康。
そして、豊臣秀吉。
それにもまして、この時代に結構おもしろいのが文化人、文化財の活躍だ。
この時代に茶や詩歌に携わる文化人が活躍する。
茶道具や茶の湯に飾る美術品がまるでお金や領地のような価値を持つ。
それを鑑定したり仲介したりするのが文化人だ。
とても不思議で面白い。
戦争で殺し合い、騙し合う権謀術数の世界の時代にこういうこともあったとは。
一国の領地に値する茶道具とは? わからんですなあ。
ここでも玉潤の「遠浦帰帆図」が出てくる。
牧谿のやつと並び賞せられる破墨の名画だ。
わけわからんようで深い味わいがある。
板部岡江雪斎などが活躍する。北条幻庵の「一節切」(ひとよぎり)、笛の音が美しい。
小田原城落城の時には茶人、山上宗二が活躍する。
そして、文化財の引き渡し。
「吾妻鑑」なんかもあったらしい。
そして、豊臣秀吉の大群に囲まれて、とうとう落城する。
最後の当主氏直は切腹を免れて高野山へ。
その後継が許されて、狭山藩の藩主となる。
なんとわしが住んでた堺市のとなりではないか。
いつも通ってたあたりに陣屋の跡があるらしい。急に親しみが出てきた。
機会を見つけて通ってみよう。

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