四文字遊びシリーズ。「飲河満腹」、「会者定離」。

飲河満腹

よく、足るを知るとか言われるけど、あさましい欲望から逃れられへんわしら、いや、わしは、後で後悔することが多い。

例えばある日、知る人ぞ知る、裏通りの中国料理店に行ったことがある。多種多彩な料理の品揃えがあるというよりは、ストリートフード的な、裏町食堂的なメニューがならんでいるだけ、しかも日本語が通じ難くそうで、注文は料理名の横をチェックする専用のメモ紙を使う。それでも、どれも美味しそう。

とても迷う。最低、これとこれは食いたいなんて、思ってると気がついたら食い切れへんほど注文してしまってた。なんせわしは、胃の手術で2/3無くなってる。手術前は無理したら食えたという記憶から抜けられへん。食い出して後悔する。こんな時、無理して食えたとしても後で、消化器官がえらく文句を言うてきて2時間ほど苦しくなる。

これが酒のときはもっと酷い。ちびちび飲んでたつもりでも、結構酒がまわって、良い気分。酔っ払いすぎてもう飲まれへんという信号はでないのをええことに、ついもうちょっとと飲んでるうちに、いきなり苦しくなる。この場合は結構大変。

体からもうあかん信号が出ないんで経験を積むしかない。

それでも、気持ちよく酔っ払ったら実行は難しい。

欲に負けておのれを制御できへんことはまだまだいろいろある。

情けない。

悟りの境地には程遠いですなあ。

いくつになっても。

あじあん

:::「正しい道筋」

正しい道筋を永遠に失ってしまった。そのことを、人々はなんとも深く確信している。そして、なんとも無関心でいる。

:::カフカ断片集 新潮文庫 より

会者定離

諸行無常、生者必滅、会者定離・・・・南無阿弥陀仏・・・

人間とは死亡率百%の生き物である。

誰にでも別れははある。早すぎる哀しい別れがある。

どうにもならんけどやりきれない。

この歳になると、それも日常とはいわんまでも珍しくもなくなる。

感性も麻痺してくるのだ。

そういうことではなくても長い人生別れと出会いはいくらでもあった。

わしの父親は警察官やったんで、とても転勤が多かった。小さい頃は転校の繰り返し。

せっかくできた友達との別れは、とても寂しかった。

そんなんもあるけど、買ったばかりの銀のネクタイピン、その日のうちに酔っ払ってどっかへ行ってしまった。

大事にしてた高価な傘、雨の日の帰りに晴れたら、どっかに忘れてきた。

出張で海外に行った。ホテルの部屋の金庫にお金を入れてたら、飲んだくれて帰ったあと、急いで出発。ボッーとしてるあいだに忘れてしまった。後の祭り、帰ってこなかった。

海外旅行で飲みにいって、調子にのってチップをあげたら、後で考えたらえらい高額やった。酔眼ではわからんかった。

哀しい別れはいくらでもある。

他にも。

まだまだ。

いっぱい。

あじあん

:::「求める者」

「求める者は見つけず、求めない者は見つかる。

:::カフカ断片集 新潮文庫 より

あじあん

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