ジャズ・アドヴァンス/セシル・テイラー

ジャズピアノはこの1枚といってもいいほどのすばらしい演奏だ。
既成のジャズの概念を破って、フリージャズの世界を作っていこうとする
創造の意欲に溢れた時代の作品だ。
すばらしい緊張感の中で、コードなどに縛られない、旋律とリズムが迸る。
それでいて、聞きやすい穏やかなやすらぎもある。
フリーであることの違和感は全くない。

しかし、A面最初のベムシャ・スウィングを聞いている限りでは、モンクの曲らしいイメージが浮かんでくるが、だんだん進んで、B面に入るとフリー色が濃くなってくる。
You’d be so nice to come home toみたいなジャズの有名なスタンダードの曲でも
まるで別世界だ。

それにしても、モードジャズやフリージャズの探求はどうなってしまったのだろう。
ジャズの世界が総てこういう風に変わってしまったのではない。
ジャズは相変わらずジャズだし、モードやフリーもジャズとしてある。
まだ、世界は変わらない。

でも、こういう不安や緊張の中で、何か新しいものをまさぐると言うフリージャズを聞きながらの気分は、
今の旅をすることで求めている気分とある意味で似ているといえるかもしれない。

piano080124

毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。