イアン・マキューアン、「土曜日」
脳の手術の描写がすごい。クラシック音楽をBGMに、淡々と正確に芸術家の
ように難しい手術を進める。
まるで出来ないことはないかの様だ。
こういう男のある日を克明に追いかけるという形で物語が進んでいく。
テロにあったと思しい飛行機が炎上しながらヒースローに着陸しようとするところを
目撃するところから始まる。
認知症への母への思い。
違った道を歩む子供たち、そういう暮らしの中に事件が起こる。
車の接触事故をおこしてしまうのだ。
そのままでは終わらずに、暴漢達が家に・・
克明な描写と語りがすばらしい。
内田百閒、「第一阿房列車」
あくまでも用があってはならない。
用がないからこその列車の旅に行くんだ。
「ここが有名だから皆が見にきますよ」というような処に誰が行ってやるものか。
「これが皆さん召し上がるおいしいものですよ」というものなら、誰が食べるものか。
という旅の数々が登場。
東京ー大阪から始まって、奥羽本線阿房列車が第一巻のおしまい。
内田百閒先生。今までどうして読んでいなかったんだろう。
実に楽しい本だ。
酒を飲む場面がうまそうだ。
ユーモアと知性が光る本だと思う。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。