最近読んだ本、「ハンチバック」、「ドナウ、小さな水の旅 ベオグラード発」。

  • 2023年8月10日
  • 16人

「ハンチバック」。

市川沙央 著。

あじあん

やっぱり芥川賞になった。

ある日、ネット記事をパラパラと眺めてたら、文學会新人賞をもらった人の紹介記事がちらっと見えた、「フーン」と通り過ぎようとしながら写真をちらっと見たら、明らかになんらかの障害を持った人の顔が。そして、その目力にギクっとなった。

紹介文を読むよりその存在感にグイッと惹きつけられた。こんな存在感の人がどんな本を書くんやろ?

「ハンチバック」? まだ、出版されてない。わしは本は図書館で借りて読む。順番待ちに登録したら、比較的早くに順番が回ってきた。

なるほど、こうくるか。

凄まじい。強烈。圧倒される。一発で呑み込まれてしまった。

Buddhaがわたしのアカウント名。

私は29年前から涅槃に生きている。

井沢釈華の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。

肺のど真ん中に穴を開ければ原理的に鼻口で呼吸するより負荷が下がると、14の私に病棟主治医は説明した。

妊娠と中絶がしてみたい

私の曲がった体の中で胎児は上手く育たないだろう

出産にも耐えられないだろう

もちろん育児も無理である

でもたぶん妊娠と中絶までなら普通にできる。生殖機能に問題はないから

だから妊娠と中絶はしてみたい

普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です。

次はどうなる?

そしてどうなる?

もしかして、私のアカウントがバレてる?

こいつは、全部読んでるのか?

何が狙い?

わしらの知らない、考えもせんかった世界が、生々しい迫力で迫ってくる。

管につながれようが、車椅子に縛られようが、戦略はいくらでもある。

平凡な思考しか出来へんわしなんかは右往左往するばかりだ。

この先、どんな本を書きはるんやろ。とても楽しみだ。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

「ドナウ、小さな水の旅 ベオグラード発」。

山﨑佳代子

あじあん

セルビアとドナウを廻る旅の話。

作者はセルビアの首都、ベオグラードに棲む詩人。

旧ユーゴスラビアの国々、まだ行ったことがないなあ。行ってみたいなあ。

セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、マケドニアなどなど。

そこを流れるドナウ川、はるかドイツからヨーロッパの国々を通って黒海に注ぐ。

悠久の川。ええなあ行ってみたい。

詩人は、暮らしているベオグラードを中心にドナウ川にまつわる暮らしと風景をとっても詩的に浮かび上がらせる。

風景には歴史がある。美しいだけでなくて、古来から繰り返された戦乱の歴史。東洋と西洋の押し合いへし合い。

民衆の側には悲惨な歴史でもある。

宗教にまつわる話は、もひとつようわからん、心に染み入ることは薄いけど、豊かな水と緑の静謐さがええなあって思う。

地球は震えている 東京からベオグラードへ

秋の海、ではなく ドナウをくだりスメデレポの古城へ

石、風、火 ドナウをわたりルーマニアへ

村、水、炎 モラバ川をたどってゴロビリェへ

橋と子供 サバからドナウへ哀しみは流れ

鳩たちの砦 ドナウをくだり古城ゴルバッツへ

廃屋のある情景 ミロブシティツァ川をたどりルタニ山へ

移動の詩人ベンツロビッチ ラーチャ川からドナウへ

寒い日々の物語 ドナウをのぼりノビサドへ

円卓会議の故郷 ドナウをのぼりスレムスキー・カルロウツィへ

『ドリナの橋』へ船の旅 ドリナ川をのびりビシェグラードへ

茜色の大聖堂 イバル川をたどりジチャ修道院へ

水の妖精 ドナウをくだりレベンスキー・ビルへ

はるかな薔薇色の国 サバ川の岸辺から

丘に眠る人々 ドリナ川をたどりバリェボへ

水のはじまり ドリナ川からターラ山の水源をたどって

骸骨の物語 ニシャバ川をたどりニーシェへ

大地は力を尽くして ドリナ川をわたりコバレ町へ

聖なる水とクジャク ドナウをたどり東セルビアへ

ベオグラード物語 ドナウがサバ川と出会うとき

人形たちの声 バニツァ強制収容所記念館にて

子供と小鳥 ドナウに浮かぶ大戦争島から

 

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星3つ半。

あじあん

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