空族(富田克也、相澤虎之助)、「バンコクナイツ 潜行一千里」
とてもユニークで意外性が強くて、心惹かれて、ワクワクして一気に読んでしまった。
空族って言う映画製作集団があるのだそうだ。そういう世界に詳しくないわしには
何もわからん世界やけどこの本を読んでカッコええなあって思った。
映画のメイキング物語のようでもあるけど多分全然違うとおもう。もっと根源の
ところに思いがあるみたいだ。映画のひとたちの目の付け所ってとても面白い
ような気がする。
舞台はバンコク、タニア、パタヤなどなど日本人がよく集まるような歓楽街から
始まる。夜の世界の光と闇か? そうではなくて夜の世界でがんばる彼女たち、
その背中に背負ったものはなにか? どうして、そんなに家族や同郷の絆が強いのか?
その故郷を訪ねる。タイの東北部、イサーンへ。そこにはなにがあるのか?
ブア・チーウィット生きるための歌に心打たれ、更に東へ。国境を越えてラオスへ。
ノンカーイのパナヤーク龍神の祭り、ヴァンヴィエン、米軍基地の跡が今では
バックパッカーの聖地に? その陰に村人の暮らしが。こういう暮らしをひきずって
バンコクに来ているのか?
そして、シェンクアンからジャール平原へ、古代の遺跡よりはベトナム戦争の跡が
心を打つ。熾烈なベトナム戦争はこんなところでも戦われたのだ。
そしてラオス王国軍対パテト・ラオの戦い。
ひどい目にあうのはいつも民衆だ。カリン族、マオ族の悲劇。
一見チャラい話のようで、歓楽街の悲喜交々話のようで、かるーい話のようで、
結構奥が深い。
その結果どんな映画が出来たんやろ? とても気になる。
映画としてはもうずいぶん前に終わってしまってる。レンタルビデを借りてまで
見る気はしいへんので、又いつかこの人達の作品が映画になるのを待とう。
とても面白い本だった。
これでいっぺんにラオスに又行きたくなった。
原田マハ、「たゆたえども沈まず」
パリに林忠正という異能のビジネスマンにして辣腕の美術商が居る。
往年のパリを中心にヨーロッパを席巻したジャポニズムはもしかしたら彼が引き起こした
ものなのかもしれない。日本の古美術に対する卓越した知識と審美眼で次々と作品を
ヨーロッパにもたらし、空前のブームを作る一端になった。
彼の下で支配人をつとめたのが加納重吉、パリで画廊を営み絵を売り、絵を買う。
ちょうどその頃、ゴッホの弟テオも画商としてパリにいた。
テオは弟ゴッホの唯1人の理解者、後援者として彼の画業と生活を支える。
ゴッホはテオの期待に答えて、誰にも描けない絵を描きあげるのか?
それとも荒ぶる魂は彼自身を壊していくのか?
ゴッホに浮世絵を見せたのは誰か? そして彼に何が起こるのか?
ゴッホのパリの暮らし、テオの悩み、林忠正と加納重吉の活躍?
印象派台頭期のパリが立ち上がる。
この人の画家の話はいつもとても面白い。
ちょっと無理があってもまあええではないか。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。