北原白秋、「フレップ・トリップ」
北原白秋にこんな本があるとは知りませんでした。
高麗(こま)丸という船に乗って、樺太観光をする紀行文です。
詩人の散文は実に興味深いです。
この時の白秋は実に明るくて軽いです。
出だしはこうです。
心は安く、気はかろし、
揺れ揺れ帆綱よ、空高く・・・・
・・・・・
舷側の波の裂けて砕ける音までが、白い嵐を吹きあげる。
オホーツク海だ。
やっぱりオホーツク海だ。
・・・・・
フレップは樺太葡萄の赤い実、トリップは黒い実です。
詩人は本の中で自由自在です。
旅物語としては異色でとても面白いです。
しかしちょっと気になる感覚もないではない。
吉田修一、「パーク・ライフ」
日常のなんでもないことから始まる冒険。
誰でもしているようで、誰もしていない。
何かが始まるようで何も始まらない。
男と女の距離感は大好きです。
こういう距離感でつきあえる異性の友人を持ちたいものだと思っています。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。